おできやシコリと間違えやすい!犬の「肥満細胞腫」について

himansaibou

わんちゃんの皮膚トラブルはわんちゃんと生活する中で比較的多く見られます。

お散歩から帰ってきたら虫に刺されて少し赤くなっていたり、アレルギーで痒みが出て掻いてしまったり…。

大なり小なり何かわんちゃんの皮膚トラブルの経験がある飼い主さんは多いのではないでしょうか。

皮膚のトラブルは直接命にかかわらないものが多いので
「放っておけば治る」「ひどくなったら病院に行こう」
つい事態を甘く見てしまいがちですが、
中には「犬の肥満細胞腫」の様に、
皮膚トラブルと見せかけて命にかかわる病気の場合があります。

犬の肥満細胞腫とは?

犬の「肥満細胞腫」は皮膚の腫瘍の中で最も多い腫瘍です。

「肥満」と付くので一見すると肥満気味の犬がなる病気に思えますが、
実際は皮膚にある「肥満細胞」に発生する腫瘍であり、
どんな犬でも発症する可能性があります。

高齢犬に多く見られますが、若い犬でも発症します。
発症には遺伝や犬種が発症に関係しているとも言われます。

肥満細胞腫は一見するとおできやしこりのように見えますが、
見た目に反してとても怖い特徴があります。

犬の肥満細胞腫のとても怖い3つの特徴

  1. 外見上の決まった特徴がない
  2. 見た目だけでは悪性度や進行度がわからない
  3. 進行具合や出来た部位によって治療方法が変わる

外見上の決まった特徴がない

犬の肥満細胞腫の9割は皮膚にできるため、目視で発見できるガンと言えますが、
肥満細胞腫の形状はおできや、赤く小さい虫刺されのようなものであったり、
シコリのように固くなっていたり、皮下にできれば脂肪腫のような形状になったり、
様々な外見を持っています。

様々な外見を持っているため、見た目だけでは腫瘍の種類を判断することができません。

「一見腫瘍に見えない」というのはとても怖いことです。

「きっと大した病気じゃないだろう」と思って放置をしてしまい、
発見が遅れることが多くあります。

肥満細胞腫が悪性の場合はリンパ節や脾臓などに転移する確率が非常に高いため
気付いた時には色々な部位に転移をしていたり、
発見が遅れると手遅れになる可能性が高くなってしまいます。

見た目だけでは悪性度や進行度がわからない

また腫瘍が大きくなったり小さくなったりと姿を変えることもあるため
経過観察をしたくなりますが、表面に見えた腫瘍だけでは悪性度や進行度が分かりません。

腫瘍が小さいからと経過観察をしていると取り返しのつかないことになることが多く、
見た目が小さく見えても早期の治療がとても重要な腫瘍と言えます。

進行具合や出来た部位によって治療方法が変わる

肥満細胞腫のグレード(悪性度)や進行度(臨床ステージ)により治療方針が変わります。

肥満細胞腫の手術は細胞の部分だけを切除するのではなく、
腫瘍周辺の正常な皮膚の部分も大きく切り取るため、
早期の発見、治療が出来ればその分負担は減ります。

反対に進行度が高いと大きく切除をしたり、複数か所の切除が必要であったり、
また、足や指などにできた場合は断脚・断指することもあります。

おできやシコリを見つけて、
「もしかして肥満細胞腫かな?」と少しでも疑問に思ったら
獣医の診察を早く受け、治療を行うことがとても重要です。
また、治療後もしっかりとしたケアを行い再発を防止していく必要があります。

肥満細胞腫はその部位を切除する必要があり、
手術には3つの方法があります。

犬の肥満細胞腫の手術方法

  • 外科手術
  • 放射線治療
  • 化学療法(抗がん剤治療など)

肥満細胞腫は放っておくと血液やリンパ腫の流れにより
がん細胞が広がってしまうので、
外科手術で取り除くのが一般的な治療となります。

外科手術で取れない部位に腫瘍がある場合や
外科手術で取り除けなかった部位がある場合は放射線での治療を行います。

化学療法は放射線治療と併用して行ったり、
腫瘍が色々な部位に転移している場合などに行われます。
化学療法、抗がん剤治療には副作用があるため、犬の様子を見ながら行う必要があります。

また、高齢で体力のない犬は外科手術をせず、
放射線治療や化学療法を行うことがあります。

犬の肥満細胞腫の主な症状

  • 腫瘍自体のかゆみ、炎症、シコリ
  • 胃潰瘍
  • 不整脈
  • 呼吸困難

…等、ガンが全身に広がると皮膚・消化器・循環器・呼吸器などに症状が見られます。
皮膚下にできた物や内臓に転移したものは目視で確認はできませんので、
食欲不振や下痢、嘔吐などが続いたら病院へ行きましょう。

犬の肥満細胞腫の手術後に出来るケア

  • 毎日の皮膚チェック
  • 食事内容の変更

手術を行ったあとも肥満細胞腫は再発の可能性が高い病気ですので、
毎日の皮膚チェックを習慣付けましょう。

体のマッサージやブラッシングを行ったり、コミュニケーションを取りながら
楽しんで行えると良いですね。

被毛の長い犬は皮膚が見えづらいので掻き分けて見るようにしましょう。

免疫力をアップできる食事内容に変更して、再発や転移の防止をしていきましょう。
抗酸化物質であるビタミンA(にんじん、かぼちゃなど)、
ビタミンC(ブロッコリー、さつまいもなど)、ビタミンE(かぼちゃなど)を含む野菜を与えたり
免疫機能を向上させるキノコ類なども良いでしょう。

その他には抗がん作用や免疫力のアップに期待できるアガリクスなどを含む
サプリメントを利用するのも良いです。

まとめ

愛犬の皮膚に怪しいしこりやおできを見つけると
「うちの子が大病になるはずがない」「ただのおできに違いない」
と思いたい気持ちはとてもよくわかります。

病気であることを認めるのはとっても怖い事です。

ですが、転移の可能性が高い肥満細胞腫は
早期の治療が「病気と付き合いながら長生きする鍵」になります。

「怪しいしこりやおでき」を見つけたら早めに病院に行くようにしましょう!