尖った三角の耳を持つ「スピッツタイプ」の中でも、古い犬種と言われるのが「キースホンド」です。
明るく陽気な犬ですが、オオカミのような色合いの被毛から、ワイルドな雰囲気も持ち合わせます。
今回はキースホンドについてお話しします。
「キースホンド」について
キースホンドはオランダ原産の中型犬です。
三角の立ち耳にフサフサとした被毛を持つ、典型的なスピッツタイプの犬で、
オオカミのような被毛の色からウルフスピッツと言われることもあります。
キースホンドの起源ははっきりしていませんが、ポメラニアンの祖先犬に当たると考えられています。
キースホンドの名前の由来は2つの説があり、
1つ目は侵入者を咬んで追い払う「番犬」として飼われていたため、
咬むという意味の「ケース」から来ているという説です。
2つ目は18世紀のオランダ愛国党のキース・ド・ギズラーが飼っていた犬を
革命のシンボルとし「キースホンド」と呼ぶようになったという説です。
名前の由来がどちらなのかは不明ですが、
オランダ愛国党のキースが飼っていた犬の種類はキースホンドで、
革命のシンボルとして掲げられたという事実は存在しています。
キースホンドは愛国党の支持者たちに多く飼育されていましたが、
愛国党の敗戦とともに飼育放棄をされ、その結果数を大幅に減らしました。
歴史に翻弄されたキースホンドはその後、船乗りや農民たちに細々と飼育されてきましたが
1920年にオランダ原産の犬としてキースホンドを保護するべきと考えた
バン・ハルデンブルック男爵夫人によって、繁殖管理されるようになり個体数が増加しました。
その後、1933年には原産国オランダのケンネルクラブでキースホンドとして犬種認定されています。
キースホンドは毛先がブラックのシルバーグレーの毛色を持ち、マズルや耳の色は黒です。
目の周りには眼鏡のような模様(スペクタクル)があり、キースホンドの特徴の一つになっています。
「キースホンド」の性格と飼い方
キースホンドは明るく社交的な性格をしており、家族に対して愛情深い犬種です。
気性が安定しているため理想的な家庭犬とも言われます。
番犬としての資質があることから、他人に対して警戒心を持つことがあります。
子犬の頃からたくさんの人に会わせて、社会化を行うようにしましょう。
キースホンドの被毛はダブルコートで密集しており、抜け毛の量が多いです。
換毛期は特に多く抜けますので、しっかりとブラッシングを行うようにしましょう。
北国の犬種ですので暑さに非常に弱いです。
夏場は冷房のある環境で過ごさせてあげましょう。
「キースホンド」のなりやすい病気
キースホンドは下記の疾患になりやすいと言われています。
- 心臓疾患
- 皮膚炎
キースホンドは生まれつき心臓に4つの病気
(右心室肥大、心室中隔欠損、肺動脈狭窄、大動脈騎乗)を
持つ「ファロー四徴症(しちょうしょう)」になりやすいと言われます。
心臓の欠損により酸素が少ない血液が全身に流れることで、
チアノーゼを起こしたり、咳、運動を嫌がるなどの行動が見られます。
遺伝性の疾患のため予防法はなく、ファロー四徴症と診断されたら投薬や運動制限を行い
一生付き合っていく必要があります。
前述のような異常が見られたらすぐに獣医さんに相談してください。
密集したダブルコートを持つキースホンドは、皮膚への通気性が悪いことから、
アトピー性皮膚炎などの皮膚炎をおこしやすいです。
皮膚に赤みが見られたり、痒がる場合は獣医さんに相談してください。
病気は早期発見・早期治療が重要です。
キースホンドの体に違和感が見られたり、
いつもと違う行動をする場合は獣医さんに早めに相談してください。
まとめ
キースホンドはオランダ原産の中型犬です。
血筋が近いためポメラニアンや日本スピッツなどとよく似ていますが、
キースホンドはがっちりとしており、体格に大きな差があります。
フワフワとしたボリュームのある被毛はとても魅力的ですが、
夏の暑さに非常に弱いので注意しましょう。
生まれつき心臓に疾患を持っている個体がいますので、
異常が見られたら早めに獣医さんに相談してください。
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