早めの発見が大事!猫の「慢性腎不全」の初期症状を知ろう

腎臓は、尿を作り、不要な老廃物を排泄する器官です。

猫の腎臓が徐々に正常に機能しなくなり、様々な障害が起きてくることを「慢性腎不全」と言います。

腎臓は一度悪くなると修復不可能な臓器と言われますので、腎不全の早い段階で治療を開始し進行を遅らせることが最も大切とされます。

初期症状を見つけ、動物病院へ連れて行けるのは飼い主さんだけです。

慢性腎不全は猫の病気の中でも比較的多い症状であり、
最も多い死亡原因の一つでもあります。

これらの症状が出ていないか毎日チェックしてください。

猫の慢性腎不全の初期症状を知っておこう

猫の慢性腎不全の初期症状には

  • 多飲多尿
  • 尿の色が薄くなる、においが減る
  • 食欲低下
  • やせる
  • 口臭がきつくなる
  • 毛ヅヤが悪くなる
  • 嘔吐する

などがあります。

犬も猫も症状としては同じようなものが見られます。

いずれも猫の行動や健康チェックを小まめにしていれば、
早期に気付くことが可能な症状です。

多飲多尿は飼い主さんがわかりやすい腎不全の症状の一つです。

おかしいな?と思ったらすぐに検査を受けましょう。

特にシニアと言われる7歳以上の猫の場合は、
定期的に尿検査やエコー検査を受けるようにしましょう。

初期症状に気付き、早い段階から腎不全に適した治療や
食事療法をしていくことで、
長く上手に腎不全と付き合っていけます。

猫からのサインを見逃さないようにしましょう。

続いては猫の慢性腎不全についてさらに詳しくお話していきます。

猫の慢性腎不全とは

腎臓機能の75%以上を失った状態を腎不全と言います。

腎不全が悪化すると毒素が排泄されずに
尿毒症を引き起こし、死亡することもあります。

猫は犬よりも慢性腎不全になりやすく、
15歳以上の猫の約30%が慢性腎不全と言われます。

猫の腎不全は、腎臓の再吸収する機能が低下するため、
水分を失いやすくなります。

体から水分がなくなるため
早い段階で実際以上の毒素の数値が出ます。

そのため初期の段階で気付くことができ、
補液などの治療が早く開始出来るのです。

また、腎機能の低下で水分を失いやすくなることが原因のため、
水分を補液で補ってあげることにより症状に改善が見られやすいです。

猫の慢性腎不全の原因

  • 基礎疾患から
  • 遺伝

急性腎不全など、中毒症状から発症した腎不全が
そのまま慢性に移行したり、水腎症や糖尿病などが原因の発症、
遺伝(アビシニアンやペルシャなど)が原因とされますが、
原因不明で発症することが多く、
猫自身の腎臓の仕組みやあまり水を飲まない性質から
腎不全を引き起こしやすいとも言われます。

猫の慢性腎不全の治療方法

猫が慢性腎臓病と診断されると病状の進行具合により、

  • 食事療法
  • 輸液療法
  • 内科療法

が行われます。

病気その物を治す治療ではなく、腎臓の正常に働いている部分の負担を減らし、
病気の進行を抑えることが目的となります。

腎臓が悪くなると栄養素の一つである「リン」が溜まりすぎてしまい、
過剰に溜まったリンが腎不全を悪化させるため、
リンを制限した腎不全用の療法食に切り替えます。

新鮮な水と共に適したフードを与えましょう。

犬の場合腎不全が進行するとタンパク質の制限が行われますが、
猫は肉食のためタンパク質が犬よりも大事な栄養源になります。

そのため猫の腎不全用の療法食は、タンパク質の過度な制限の必要はありません。

消化吸収を上げるためには、フードを温め、食事回数を増やして与えます。

輸液療法は、点滴により体内の水分量をあげて尿の量を増やし、老廃物を取り除きます。

内科療法は毒素を吸着させる薬などが処方されます。

活性炭が毒素の吸着・排出にとても有効なことから、
良質な竹炭を配合したサプリメントの使用も効果的でしょう。

猫の腎不全と長く上手に付き合うには

  • ストレスを与えないこと
  • 体を冷やさないこと
  • 食事のローテーションやトッピングを行うこと

まずはあらゆる病気の原因ともいわれるストレスを軽減してあげましょう。
環境の変化や運動不足などはストレスの原因です。

小さなきっかけで一気に悪化してしまうこともありますので、
落ちついてリラックスできる環境を提供してあげましょう。

猫の場合は特に引越しなどの環境の変化や、外出など(通院)がストレスになりがちです。
不必要な外出は避け、通院なども待合時間を短くできるように予約や
往診などを利用して、ストレスをかける時間を少なくできるといいですね。

体の冷えは腎臓に負担をかけます。
夏場は冷房で冷やし過ぎていないか、
冬場は寒がっていないか注意しましょう。

嫌がらないようであれば、保温のために洋服を着せることも効果的です。

腎不全になると食欲が低下し、食に対して選り好みをすることがあります。

食事をとらないと体力が低下してしまうため、
いくつかの療法食をローテーションしたり、
低リンの新鮮な食材(白身魚など)をトッピングしたり、
食事を上手に工夫していきましょう。

まとめ

慢性腎不全は完治しないため、腎不全が分かった時から
生涯付き合っていかなくてはいけない病気です。

初期症状の段階から進行を少しでも抑えてあげて、
穏やかな日常を過ごさせてあげることが目標になると思います。

食事をなかなか食べてくれなかったりしたときは、
流動食にして与えるなどの介護が必要になることもあります。

介護は飼い主さんの負担も大きくなりますので、
しっかり息抜きをしながら病気と付き合っていきましょう。