注射がきっかけで発症することがある!猫の「注射部位肉腫」について

混合ワクチンや抗生剤の注射など、猫に「注射」をする機会は猫を飼育していると必ずありますね。

しかし、猫はこの注射が原因で「注射部位肉腫」という症状を稀に発症してしまうことがあります。

病気予防のために接種した注射が原因で病気になってしまうのは、なんだか怖いですが、知識としてしっかり覚えておくようにしましょう。

猫の「注射部位肉腫」とは

猫の「注射部位肉腫(ちゅうしゃぶいにくしゅ)」はワクチンや
その他の注射を接種した部位が肉腫化(ガン化)してしまう病気です。

注射部位肉腫は悪性度が非常に高く、再発率も高い治療の難しいガンです。

基本的には猫に発症し、犬など猫以外の動物ではほとんど発症しません。

注射を打ってから肉腫が発症するまでの期間は4週間から10年と幅があるため、
原因の特定は非常に困難です。

注射部位肉腫の好発部位は肩甲骨の間、肩甲骨の上後ろ足、脇腹、お尻などです。

注射部位肉腫を起こす原因はワクチン内に含まれる
「アジュバント(ワクチンの効果を高める成分)」や、
「白血病ワクチン」「ウイルス」など色々と考えられていますが、
確証には至っていません。

発症年齢は平均10才でピークは6~7才、10~11才です。
発症する確率は1~2/10,000匹程とされます。

猫の「注射部位肉腫」の症状

注射部位肉腫の一般的な症状として、
ワクチン接種後3ヶ月間~3年かけてシコリが徐々に大きくなります。

シコリが神経を圧迫したり、リンパや肺に転移することがあります。

ワクチンを接種した場所がシコリになることは一般的によくあり、
この場合は1ヶ月~3ヶ月ほどで自然に消失します。

しかし、徐々に大きくなり、消失しない場合は注射部位肉腫の可能性がありますので、
獣医さんに相談しましょう。

猫の「注射部位肉腫」の治療方法

  • 外科手術
  • 化学療法(抗がん剤)
  • 放射線療法

注射部位肉腫は浸潤性が高い腫瘍(他の組織に根を張るような腫瘍)であるため、
外科手術で広範囲を切除する必要があり、
四肢に発生した場合は断脚が推奨されます。

切除しても肺への転移や、再発率も高いため、
化学療法や放射線療法も補助療法として行うことがあります。

猫の「注射部位肉腫」の予防方法

猫の注射部位肉腫は発症原因が不明なこともあり、
予防は難しいですが、下記の方法は発症のリスクを下げる効果が期待できます。

ワクチンの接種部位に注意する

肩甲骨への発生が多いことや、肩甲骨に肉腫が発生した場合
切除が難しくなることから、近年では両前脚や尻尾など
肩甲骨以外への注射接種が推奨されています。

また、同じ部位への注射を避けることも、発症リスクを下げると考えられています。

ワクチンの接種を控える

ワクチンは感染症から猫を守るためには必要不可欠なものです。

しかし、あくまで飼い主さんの選択となりますが
猫の飼育環境が下記の場合はワクチン接種を控えるという
選択をすることもできます。

  • 完全室内飼育
  • 多頭飼育ではない
  • ペットホテルなどを利用しない

人間が家に病原菌を持ち込むこともあるため、
感染の可能性はゼロにはなりませんが、
他の猫との接触がないため、感染症のリスクは低くなります。

どちらを選択するか、ご家庭内でもよく話し合ってみましょう。

まとめ

猫の「注射部位肉腫」は注射がきっかけで起こることがあります。

しかし、注射接種後必ず起こる物ではありません。

注射接種後に肉腫になる可能性があることを知っておくと、
すぐに獣医さんに相談することができます。

注射接種は発症リスクの高い肩甲骨以外にしてもらい、
注射接種後は患部をよくチェックするようにしましょう。