人や犬にも感染する!猫の「皮膚糸状菌症」について

猫の皮膚病の中で猫に「カビが生える」ものがあります。猫に「カビが生える」というとびっくりしてしまいますよね。

猫の体にカビが生えてしまう皮膚病を「皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)」と言います。

「皮膚糸状菌症」とは一体どういう病気で、どのような症状が見られるのでしょうか。

猫の「皮膚糸状菌症」とは

猫の「皮膚糸状菌症(別名猫カビ)」真菌(カビ)の一種である
皮膚糸状菌に感染することで発症する皮膚病で、
人間の病気で例えると「水虫」のようなものです。

弱った表皮や毛根、爪の根本から真菌が侵入することにより
真菌が異常繁殖し、炎症を起こします。

皮膚糸状菌症が全身に広がった症状を「白癬(はくせん)」と言います。

高齢な猫、子猫、病気の猫など、
免疫力の低下している猫が特に感染しやすいです。

皮膚糸状菌はカビの一種のため、
カビの発生しやすいジメジメとした梅雨の時期などは
特に感染率が高まります。

感染経路は土壌からの自然感染、感染した動物との接触、
感染動物の使用した毛布、櫛やバリカンなどからです。

また、猫の「皮膚糸状菌症」は人や犬にも感染する
人畜(獣)共通感染症です。

猫の「皮膚糸状菌症」の症状

  • 円形の脱毛が見られる
  • フケ
  • かさぶた
  • 発疹
  • 強い痒み

猫が皮膚糸状菌に感染すると顔や耳、手足などに
円形の脱毛が見られます。

さらに、円形脱毛の周りにフケやかさぶた、
発疹ができることがあります。

痒みは見られないことが多いですが、
猫によっては強い痒みを感じることがある様です。

また、感染してもほとんど症状が出ない場合もあります。

猫の「皮膚糸状菌症」の治療方法

  • シャンプー治療と外用薬治療
  • 抗真菌薬
  • 発症原因となっている病気の治療

通常1~3ヶ月で自然回復していきますが、
人や他の動物への感染を予防するために治療を行います。

一般的な治療としてシャンプー治療や、局所への外用薬治療をします。

重症化や慢性化している場合や、
長毛種の場合は治療が長期化しやすいため、
抗真菌薬を経口投与します。

猫エイズや猫白血病などによる免疫力低下が原因で、
皮膚糸状菌症を発症している場合は
病気の治療を同時に行います。

また、感染部位の拡大を防ぎ、
外用薬を塗りやすくするために、
患部周辺の毛刈りを行います。

感染部位が広い場合は全身を毛刈りすることもあります。

猫の「皮膚糸状菌症」の予防方法

  • 室内飼育を心がける
  • 人が感染経路にならないように気を付ける
  • 部屋を清潔に保つ
  • 免疫力を高める

室内飼育を心がける

皮膚糸状菌症は不衛生な場所で発生しやすいため、
外部からの感染が多いです。
野良猫や他の動物からの感染リスクを減らすために、室内飼育を心がけましょう。

人が感染経路にならないように気を付ける

猫の皮膚糸状菌症はカビが原因の皮膚病であり、
猫から人への感染が見られる病気ですが、
その逆に人から猫へ感染することもあります。

カビが原因の人の皮膚病というと、水虫が有名ですが、
人の水虫も猫に感染します。

飼い主さんが水虫を発症している場合は、
患部に接触させない、使用したタオルなどは洗い
清潔に保つようにしましょう。

部屋を清潔に保つ

皮膚糸状菌症の原因菌であるカビを発生させないように、
部屋を清潔に保つようにしましょう。

湿度を下げたり、風通しを良くするなど、
カビの発生しにくい状況を作るようにしましょう。

免疫力を高める

皮膚糸状菌症は免疫力が低下している時に特に症状が出やすいため、
普段から、食事に免疫力を高める効果のある
サプリメントなどを加えると良いでしょう。

猫の「皮膚糸状菌症」が人へ感染した場合は?

猫の「皮膚糸状菌症」は猫同士だけでなく、
飼主である人にも移る点が非常に厄介な病気です。

通常は人の免疫力で感染は防がれますが、

  • 病気など様々な理由で免疫力が低下している
  • 感染猫との接触が頻繁
  • 感染猫に触った後も手洗いをしない(皮膚への付着菌が長期にわたる)
  • 感染猫の使用している毛布を洗わないなど不衛生な環境

などの場合は人に感染することがあります。

人が皮膚糸状菌に感染した場合は

  • 顔や頬、腕などに赤い発疹
  • かゆみ
  • 水泡

等が見られます。

症状が治まっても、体調を崩した時などに再発したり、
飼主さん自身が他の人や動物への感染源となってしまうので、
速めに病院に行くようにしましょう。

まとめ

猫の「皮膚糸状菌症」は感染することで、
死に至るような怖い病気ではありませんが、
一度感染すると治るまでに時間がかかったり、
飼い主さんにも感染する可能性がある厄介な病気です。

猫に円形の脱毛など、皮膚糸状菌症が疑われる症状が見られたら、
すぐに病院に連れていくようにしましょう。

また、原因菌である「カビ」を発生させにくい
環境を保つようにしましょう!