犬の病気の中で、蚊が媒介する病気として有名なのが「フィラリア症」です。
春先に動物病院に行くと必ず「フィラリア症」の予防を勧められるので、多くの飼い主さんが知っている病気の一つだと思います。
しかし病名は知っているけど、実はどんな病気か知らない飼い主さんは多いのではないでしょうか?
今回はこのフィラリア症についてお話しします。
Contents
犬の「フィラリア症」とは
犬の「フィラリア症」は別名:犬糸条虫症(いぬしじょうちゅうしょう)と呼ばれる、感染症です。
フィラリア症は蚊を媒介として犬に感染します。
犬の血管から侵入したフィラリアの幼虫は、体内でゆっくりと成長しながら大静脈を通り、
肺動脈や心臓(右心系)で成虫になって「寄生」をします。
その結果血液循環器系、呼吸器系、内臓に疾患を引き起こすようになります。
犬の「フィラリア症」の感染について
フィラリアは成虫時20cmほどになる、細長い乳白色をした寄生虫です。
犬に寄生し、成虫となったメスはミクロフィラリア(フィラリアの子虫)を犬の血液中に産みます。
蚊はフィラリアに感染している犬の血を吸うことにより、
ミクロフィラリアを体内に取り入れ、「中間宿主」となります。
ミクロフィラリアは犬の体内では成長できないのですが、
蚊の体内に移動することにより、
約2週間後、感染能力のある「感染幼虫」まで発育します。
この状態の蚊がフィラリア未感染犬を吸血することにより、
感染幼虫が血管から体内に寄生し、犬がフィラリアの「宿主」となります。
感染幼虫は数か月かけて犬の体内でゆっくりと発育し、
心臓と肺動脈に移動し、成虫となります。
成虫になるとミクロフィラリアを産みますので、
またその血を蚊が吸うことにより、どんどん感染が広がります。
犬の「フィラリア症」の症状
フィラリア感染直後はほとんど無症状で、
まれに軽度な咳が出る程度です。
症状は慢性経過をたどり、
数年経ってから下記のような症状が目立つようになります。
- 元気消失
- 運動を嫌がる
- 咳が出る
- 食欲不振
- 血尿
- 体重減少
- 腹水
- 呼吸困難
- 虚脱
咳に血が混じるようになったり、
悪化すると死に至ることもあります。
犬の「フィラリア症」の治療方法
犬のフィラリア症に感染した場合は下記の治療方法を行います。
- 外科手術で寄生虫を取り出す
- 駆虫薬を使う
- 呼吸状態の改善等の対症療法
犬の年齢やフィラリアの感染状態などにより、治療方法は異なります。
外科手術の場合は成虫を取り除くことができ、手術後は通常の予防薬で幼虫を駆除します。
しかし、麻酔と血管の破損のリスクがあります。
駆虫薬の使用は死んだフィラリアが血管に詰まる可能性があるため、
犬の様子を見ながら慎重に行う必要のある方法です。
呼吸状態の改善や咳を抑える等の対症療法で、
フィラリア自体は取り除かない方法もあります。
また、治療を行っても感染により一度傷ついた血管や臓器は元に戻りませんので、
ダメージを抱えたまま生活をすることになります。
犬の「フィラリア症」の予防方法
一度感染すると今後の生活にかなりのダメージを与えるフィラリア症ですが、
予防をすることができます。
予防薬の種類
- 飲み薬
- スポットタイプ
- 注射
の3種が選択できます。
飲み薬やスポットタイプの場合は、
獣医さんに指定された期間「毎月しっかりと欠かさず投与すること」がとても大事です。
注射の場合は一度注射をすると半年間フィラリアの予防効果が持続します。
そのため、投与を忘れてしまう方にはおすすめの方法ですが、
副作用や体に負担がかかりやすい、という報告があるため、
オススメをしていない獣医さんも多いです。
予防薬の投与期間
フィラリア予防薬の投与期間は
「蚊の活動し始める1ヶ月後から、蚊の活動が終わる1ヶ月後まで」です。
なぜ1ヶ月のズレがあるのかというと、フィラリアの予防薬は予防ではなく、
体内に侵入した感染幼虫を駆虫する薬のため、
最後に蚊を見かけた月の1ヶ月後に駆虫をしてその年のフィラリア予防が
終了する…というサイクルになります。
蚊の出現シーズンは地域によって異なるため、
フィラリア予防薬の投与期間は地域によって異なります。
予防薬投与前の血液検査
フィラリア予防薬は使用の前に、動物病院で必ず血液検査を行います。
これはフィラリアに感染している犬に予防薬を投与してしまうと、
フィラリアが一斉に死亡し、犬の血管が詰まってしまう恐れがあるためです。
犬がフィラリアに感染しているかは血液検査をしないと分からないため、
毎年予防薬の処方の前には血液検査がセットで行われています。
まとめ
犬の「フィラリア症」は感染すると怖い病気ですが、予防ができる病気です。
予防薬を忘れずに投与して、愛犬をしっかり守りましょう!
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