人のために働く犬を「使役犬(ワーキングドッグ)」と言います。
今回は使役犬の中でも知名度の高い「牧羊犬」についてお話しします。
「牧羊犬」について
牧羊犬は「放牧されている羊を移動させたり、外敵から守る仕事をする犬」です。
牧羊犬の歴史は非常に古く紀元前4300年頃から存在していたと言われます。
元々牧羊犬は主に外敵から羊を守る仕事をしており、体が大きく力の強い犬種が使われていました。
時代が進み家畜の数が増えると、人の手で羊を管理することが難しくなり、
羊を誘導し、まとめて管理する仕事も牧羊犬に任せるようになりました。
この頃には小回りが利き活発に動ける小型・中型の犬種が選ばれるようになりました。
牧羊犬により人間の作業は大幅に短縮でき、家畜管理が容易になりました。
現代でも牧羊犬は現役で働いており、牧畜が盛んな地域では
なくてはならない存在となっています。
「牧羊犬」の仕事とは
牧羊犬は大きく分けて「ガーディングドッグ」と「ハーディングドッグ」がいます。
「ガーディングドッグ」は周囲を警戒したり外敵から家畜を守ります。
羊たちを外敵から守るためには強靭な体と身体能力、危険を察知する能力が必要です。
牧羊犬種の中でも大型な犬が多く、代表犬種はクーバースやマレンマシープドッグなどです。
「ハーディングドッグ」は羊をまとめて目的地に誘導したり、羊の行動を監視します。
ハーディングドッグには羊の動きに対する観察力、長時間俊敏に動き回る運動能力、
指示をしっかり聞き、自ら判断を行う知的能力が必要です。
代表犬種はボーダーコリー、シェットランドシープドッグ、オーストラリアンシェパードなどです。
羊の誘導の方法は犬種によって異なり、多くの犬は吠えて羊を追い立てますが、
視線で羊を威嚇するタイプや足に噛みつくタイプもいます。
ハーディングドッグは羊を追う本能がありますが、
最初から勝手に羊をまとめ上げてくれるわけではありません。
どのように羊を動かすかは人間が指示をしますので、
細かく指示を聞けるように日々トレーニングを行います。
ある程度教え込むと、指示がなくとも犬自身で羊をコントロールするため
羊飼いは犬に羊を任せることもあるそうです。
番外編:「牧畜犬」とは
牧羊犬の他に「牧畜犬」と呼ばれる犬もいます。
牧畜犬は主に羊、牛、馬などの家畜を追い立てて市場に運ぶという仕事をします。
牧畜犬は羊よりもさらに大きな牛や馬も追うため、負けん気の強さや体力が求められます。
代表犬種はウェルシュコーギー、ロットワイラー、ジャイアントシュナウザーなどです。
まとめ
牧羊犬は羊を管理、誘導することを役割として働く犬です。
牧羊犬の歴史はとても古く、紀元4300年頃から存在していたと言われ、
羊を追い立てまとめる「ハーディングドッグ」と
羊を守る「ガーディングドッグ」の2種がいます。
日本は土地が狭いため、放牧に使う面積も狭く
海外のように牧羊犬を使った牧畜はほとんど行われていません。
観光牧場などでは牧羊犬のショーが行われているので、
牧羊犬のカッコいい姿をぜひ見てくださいね。
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