中東の古代犬「サルーキ」について

サルーキはすらりとした体形に優れた運動能力を持つ、とても美しい犬です。

今回はサルーキについてお話しします。

「サルーキ」について

サルーキは中東原産(※)の大型犬で「サイトハウンド」と呼ばれる
優れた視覚とスピードで獲物を追う猟犬のグループに属します。
※一つの国ではなく、中東全体で何千年にもわたり狩猟に用いられたため中東の表記となります。

サルーキは現存する犬種の中で最も古い犬で、
紀元前6000年以上前の遺跡にサルーキそっくりの彫刻が見つかっており、
エジプト王家のファラオの墓からはミイラとして発見されています。

サルーキの名前はアラビア古語の「アラー神より授かりしもの」という意味を持ち、
中東諸国で特別な存在として扱われていました。

サルーキはアラビアの遊牧民と狩りをしながら、各地で子孫を残しました。
12世紀頃ヨーロッパに渡ったと言われ、16世紀にはドイツの肖像画でその姿が確認されています。

その後、1923年にサルーキの犬種標準(スタンダード)が作成され、
イギリスケネルクラブで正式に犬種として登録されました。

サルーキは小さい頭部に長い四肢を持つ、非常にスリムな体型をしています。
被毛はスムースとフェザードの2タイプあり、フェザードは耳と尾に飾り毛を持ちます。
毛色はフォーン、グリズル、ホワイト、クリーム、ブラックタン、トライカラーなど様々です。

ちなみにモロッコ原産のスルーギとは姿が非常に似ており、血縁関係にあると言われています。

「サルーキ」の性格と飼い方

サルーキは優しく落ち着いた性格をしていますが、少々神経質で繊細な面があります。

走ることが大好きなサルーキは、外に出た途端落ち着いた性格から
一気に大興奮して豹変することがあります。
全米獣医師学会でもリードを必ずつけて散歩するべき犬の筆頭として
サルーキを挙げるほど、逸走の危険が高い犬種です。

走る意欲はドッグランなどで発散させて、
散歩は落ち着いて歩けるようにトレーニングするなど
オンオフをしっかりと教えるようにしましょう。

訓練性能は悪くないですが、繊細で我の強い面があるため
無理強いするようなトレーニングはせず、短時間で褒めて伸ばす
トレーニングがおすすめです。

興奮を抑える「マテ」や遠くへ走っていった際の「呼び戻し」などを
特にしっかりと教えましょう。

サルーキは体脂肪が少なく寒さに弱いため、
冬場の寒さ対策には十分注意しましょう。

「サルーキ」のなりやすい病気

サルーキはとても頑健な犬種で、遺伝性疾患などもほとんどありません。

体型的に気を付けたいのが「胃捻転」です。

「胃捻転」は、何らかの原因で胃が拡張とねじれを
起こしてしまう病気で、大型犬が起こしやすい疾患ですが、
サルーキは胸が深い(胸骨と背骨の間が長い)骨格のため、
胃捻転を特に起こしやすい犬種とされます。
早食いや食後の運動を避けるなど、対策をしっかり取るようにしましょう。

病気は早期発見・早期治療が重要です。
サルーキの体に違和感が見られたり、
いつもと違う行動をする場合は獣医さんに早めに相談してください。

まとめ

とても美しい容姿のサルーキは数千年以上前から
人々に愛されている非常に歴史のある犬種です。

走ることが大好きで、一度興奮するとコントロールが難しい
犬種なので散歩時などは注意が必要です。

体はとても頑健ですが、寒さには弱いので
冬場は寒さ対策をしっかり行いましょう。