日本の愛玩犬!「狆」について

「狆(ちん)」は潰れ顔に大きな目を持つ日本の愛玩犬です。

愛嬌のある顔に、優雅な長い被毛を持つ狆は古くから日本で愛されてきました。

今回は狆についてお話しします。

「狆」について

狆は日本原産の小型犬です。

狆の歴史はとても古く、諸説ありますが
最も古いものだと500年代に仏教伝来と共にチベットから渡ってきたという説があり、
祖先犬はチベット原産の小型犬(チベタンスパニエルやペキニーズと近い血筋)、と考えられています。

狆の名前の由来は「小さい犬」で、
「ちいさいいぬ」→「ちいぬ」→「ちぬ」→「ちん」と段々詰まって
「狆(ちん)」と呼ばれるようになったと言われています。
狆という漢字は和製漢字で「犬と猫の中間の存在」という意味から
作られたと言われています。

狆は愛玩犬として改良・繁殖された日本最古の犬とも言われ、
古くから日本人に愛されてきた犬種です。

江戸時代に、生類憐みの令で知られる徳川綱吉に寵愛されたことでも有名で、
江戸城で抱き犬や座敷犬として飼育されました。

狆は1853年にペリー提督によってアメリカに持ち帰られた後、
犬好きで知られるイギリスのビクトリア女王に献上されたと伝えられています。

開国後は日本に洋犬が入ってきたこともあり、国内では徐々に狆の数が減っていきましたが
反対にヨーロッパでは狆の愛好家が増えて、
1870年にはイギリスのケネルクラブで犬種として公認されています。

狆を改良し、現在の姿に固定したのはイギリスやフランスの愛好家と言われます。

狆は長毛の短頭種で、大きな目と垂れ耳を持ちます。毛色は白地に黒、または赤茶の班です。

ちなみに狆は日本原産の犬ですが、外来犬の血が混じるため柴犬などの「日本犬」には含まれません。

「狆」の性格と飼い方

狆はとても大人しい性格で、飼い主に強い愛情を持ちます。
「愛玩犬」として飼育されてきた歴史が長く、
とても飼いやすい犬として知られています。

神経質な面があるので、子犬の頃から他犬や他人に会わせて
社会化を行うようにしましょう。

人の指示を聞く「使役犬」としての歴史がないため、しつけは難しいことがあります。
根気よく教えるようにしましょう。

アクティブなタイプではないので、運動を一緒に楽しみたい
という人にはあまり向いていません。

運動量は少なめで室内の運動でも足りると言われますが、
日光浴や社会化のために散歩に行くようにしましょう。

狆は短頭種のため、暑さに弱いです。
冷房の使用など、暑さ対策を徹底し熱中症に注意してください。

狆のトレードマークでもある毛量のある長く美しい被毛は
毛玉になりやすいため、毎日ブラッシングするようにしましょう。

「狆」のなりやすい病気

狆は下記の病気になりやすいと言われます。

膝蓋骨(膝のお皿)が外れる「膝蓋骨脱臼」は小型犬によく見られますが、
狆も起こしやすい症状です。
室内がフローリングの場合はカーペットを敷くなど、
滑りにくくするようにしましょう。

「気管虚脱」はガーガーと荒い呼吸をしたり、
呼吸が苦しくなる症状ですが、
狆はこの症状を起こしやすいです。
気管虚脱のはっきりした原因は不明ですが、
放って置くと呼吸困難を起こすことがありますので、
獣医さんに状態を見てもらうようにしましょう。

狆は目の水晶体が白く濁る「白内障」が見られることがあります。
高齢犬に多く見られますが、若犬にも見られることがあるので、
目に濁りがないか、よくチェックするようにしましょう。

病気は早期発見・早期治療が重要です。
狆の体に違和感が見られたり、
いつもと違う行動をする場合は獣医さんに早めに相談してください。

まとめ

狆は日本原産の小型犬です。

日本でとても古くから愛されてきた生粋の愛玩犬であり、
徳川綱吉にも寵愛されてきました。

狆は古くから人の近くで飼われていた犬なので、
大人しく飼いやすい犬種と言われます。

短頭種なので、夏の暑さには特に気を付けるようにしましょう。