ボクサーは筋肉質で洗練された体の、とてもたくましい犬種です。
一見すると怖い犬に見えますが、表情豊かで愛らしい一面を見せてくれるためそのギャップが人気です。
今回はボクサーについてお話しします。
「ボクサー」について
ボクサーはドイツ原産の中~大型犬です。
名前の由来は諸説あり、
- 立ち上がった姿がボクシングをしているように見えたため
- ボックス型(四角)の体型をしているから
などの説があります。
ボクサーの祖先犬はマスティフ系統のブレンバイザーと呼ばれる猟犬で、
「猟師が来るまで獲物に噛みついて離さずにいる」という仕事をしていました。
ブレンバイザーは犬種名でなく、
そのような仕事をする犬の総称のようなもので、
姿形は地域によって異なっていたと言われています。
ブレンバイザーは猟以外にも、闘犬に使われていましたが、
1830年代には畜産の進歩とともに猟が衰退し、闘犬も禁止されるようになると
家畜の護衛犬に利用されるようになりました。
この時に雑種化していたブレンバイザーを一つの種として統一する動きが見られ、
ブレンバイザーはテリアやブルドッグ、グレートデーンなど様々な
犬種と交配され、改良されました。
この時の犬が、現在のボクサー犬の基礎となり、
1905年頃にはドイツの犬として正式に認められました。
その後は軍用犬や警護犬、メッセンジャー犬など多岐にわたって活躍し、
使役犬や家庭犬としてもヨーロッパで人気の犬となりました。
ちなみに、ボクサーはドイツで犬種登録される数年前にアメリカに渡り、
1903年にアメリカケネルクラブにボクサーとして登録されています。
アメリカのボクサーは第二次世界大戦中に軍用犬として活躍した後、
家庭犬や警護犬として人気が高まり、
アメリカ人好みの性格や体型の「ボクサー」として繁殖されていきました。
現在のボクサーはドイツタイプとアメリカタイプに分かれており、
日本にいるボクサーのほとんどはアメリカタイプです。
日本でのボクサーは、警察犬協会が警察犬として認める犬種の一つとなっています。
ボクサーは筋肉質で引き締まった体と
上あごよりも下あごが出ているアンダーショットが特徴的です。
ボクサーは断尾・断耳を行う風習がありますが、
現在は動物愛護の観点から断尾・断耳を禁止している国があります。
被毛は硬く短いシングルコート、
毛色はフォーンとブリンドルで、顔が黒いブラックマスクです。
顔や胸に白色が入ることがあります。
稀に白色が極端に多いボクサーが生まれることがありますが、
体の1/3以上が白い場合はボクサーと認められず、血統書が発行されません。
これは白いボクサーに聴覚障害や重い遺伝病などが多くみられたためと言われています。
「ボクサー」の性格と飼い方
ボクサーは活動的で明るい性格、家族にとても忠実な犬です。
訓練性能が高いため、一緒にトレーニングを楽しみたい人に
特に向いている犬種と言えます。
ボクサーは警護などの仕事をしていたことから、
他人や他犬に対して警戒心を抱きやすいです。
子犬の頃からたくさんの人や犬に会わせるなど、
社会化をよく行うようにしましょう。
短頭種で短いシングルコートのボクサーは暑さにも寒さにも弱い犬種です。
室温管理をしっかりと行うようにしましょう。
「ボクサー」のなりやすい病気
ボクサーは下記の疾患になりやすいと言われます。
ボクサーは遺伝的に「拡張型心筋症」になりやすく、「ボクサー心筋症」とも呼ばれます。
拡張型心筋症は心臓の筋肉が薄くなることで、心臓の収縮機能が低下し、
血液を体にうまく送ることができなくなってしまう疾患です。
拡張型心筋症になると肺水腫、食欲不振、呼吸困難などの症状がみられることがあります。
心筋症自体の治療方法はないため、対症療法(例:肺水腫なら利尿剤)が行われます。
予防が難しい疾患ですので、心臓の定期的な検査を行うようにしましょう。
ボクサーは椎骨と椎骨の間でクッションの役割をはたす「椎間板」に亀裂が生じ、
一部が飛び出してしまう「椎間板ヘルニア」を起こしやすい犬種です。
重度の場合は歩行困難になり、痛みも伴うため
外科手術やステロイドなどで治療を行います。
また、肥満は椎間板ヘルニアを悪化させる要因ですので、
体重管理にも気を付けましょう。
「胃捻転」は、何らかの原因で胃が拡張とねじれを
起こしてしまう病気で、大型犬が起こしやすい疾患ですが、
ボクサーは胸が深い(胸骨と背骨の間が長い)骨格のため、
胃捻転を特に起こしやすい犬種とされます。
早食いや食後の運動を避けるなど、対策をしっかり取るようにしましょう。
病気は早期発見・早期治療が重要です。
ボクサーの体に違和感が見られたり、
いつもと違う行動をする場合は獣医さんに早めに相談してください。
まとめ
ボクサーはドイツ原産の中~大型犬です。
高い訓練性能を持つボクサーは、
軍用犬や警察犬など多岐にわたって活躍する一方、
コンパニオンドッグ(伴侶犬)としても人気があります。
遺伝的に心筋症が多くみられるため、
定期的な心臓の検査を受けるようにしましょう。
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