アメリカンピットブルテリアは、“たくましい体つきの強い犬”として特にアメリカで人気の高い犬種です。
今回はアメリカンピットブルテリアについてお話しします。
「アメリカンピットブルテリア」について
アメリカンピットブルテリアはアメリカ原産の中~大型犬です。
全体的に筋肉質で、胸の広いがっちりとした体型をしています。
毛色はホワイト、ブラック、ブルー、ブリンドルなど様々な色が認められています。
アメリカンピットブルテリアという名前は
ピットブル(囲い【ピット】の中に閉じ込められた牛【ブル】)と戦うテリアという意味があります。
単にピットブルというとアメリカンピットブルテリアを指すことが多いですが、
実際ピットブルは犬種グループのようなもので
アメリカンピットブルテリア、アメリカンスタッフォードシャーテリア、
スタッフォードシャーブルテリア、アメリカンブリーの4犬種が「ピットブル」に属します。
アメリカンピットブルテリアはイギリス原産の
スタッフォードシャーブルテリアから作出されました。
スタッフォードシャーブルテリアは19世紀の初め頃、
犬と雄牛を戦わせるブルベイティング(牛いじめ)という見世物のために作出された犬種で、
テリアの気の強さにブルドッグの体格や力を持ちます。
イギリスでブルベイティングが禁止された後は、
非合法に行われていた闘犬用の犬(※)として使用されるようになりました。
(※イギリスで1835年に闘犬が禁止された後も一部の非合法の闘犬用の犬として使われ、
1920年代前半には完全に闘犬種として使用されなくなりました)
1870年代になるとスタッフォードシャーブルテリアはアメリカに輸出されるようになり、
この犬たちにアメリカンブルドッグなどが交配され、アメリカンピットブルテリアが誕生しました。
アメリカではクマやオオカミなどに家畜が襲われることが多いため
勇敢で、嚙む力の強いアメリカンピットブルテリアは家畜の護衛犬として大変重宝されました。
しかし、20世紀に入るとアメリカンピットブルテリアの中でも獰猛な個体を、
違法な闘犬や犯罪に悪用する者が増えるようになり、
凶悪で人を襲うなどの悪いイメージが付くようになりました。
現在のアメリカンピットブルテリアは、家庭犬として何代も飼われてきた血筋ですが、
闘犬種としての性質が強く、とても難しい犬種として知られています。
アメリカでは不幸な事故も多く報告されており、
危険な犬種として多くのヨーロッパの地域で飼育が禁止されています。
上記の理由からアメリカンピットブルテリアは多くの犬種団体で公認されず
アメリカのユナイテッド・ケネルクラブという犬種団体でのみ公認されています。
ちなみに、アメリカンピットブルテリアと非常によく似ている
アメリカンスタッフォードシャーテリアは
19世紀後半まで同じ犬種として扱われていました。
アメリカンスタッフォードシャーテリアはアメリカンピットブルテリアとは異なり、
家庭犬として穏やかな性格に改良されたため、
1972年に多くの犬種団体で公認されています。
アメリカンピットブルテリアの愛好家たちが、攻撃性を改良した
アメリカンブリーという新しい犬種を作出するなど、
現在でも家庭犬としての犬種改良が続けられています。
「アメリカンピットブルテリア」の飼い方としつけ
アメリカンピットブルテリアは飼い主に忠実で忍耐強く、服従心の強い犬種です。
家族に対して愛情深く、守ろうとする性質があります。
賢く物覚えが良く、訓練性能も悪くありません。
他犬に対して攻撃的になりやすい個体がいるため、
子犬の頃から他犬や他人とよく会わせて、社会化を行うようにしましょう。
上記のように基本的な性質は家庭犬として問題がないのですが、
個体によっては闘犬種としての闘争本能や防衛本能が
ふとしたタイミングで出てしまうい、大きな事故に繋がることがあります。
例えばロープの引っ張りっこなどは、他の犬では問題ない遊びですが
アメリカンピットブルテリアの場合は闘争本能に火をつけてしまうことが
あるため注意が必要です。
アメリカンピットブルテリアは多くの犬種の中でも特殊な犬種です。
アメリカンピットブルテリアに関して知識を持っている訓練士さんに
アドバイスをもらいながらしっかりと訓練を行い、飼育することをお勧めします。
「アメリカンピットブルテリア」のなりやすい病気
アメリカンピットブルテリアは下記の病気になりやすいとされます。
「股関節形成不全」は股関節の発育状態が悪く
亜脱臼状態になる病気で、大型犬によく見られます。
この病気になるとモンローウォークという腰を
左右に振る独特な歩行になるので、獣医さんに相談しましょう。
「チェリーアイ」は第三眼瞼(瞬膜)を固定している組織が
先天的に欠損しているため起こる眼病で、チェリーアイの犬は
結膜炎や角膜炎なども起こしやすくなります。
治療には炎症を抑えるために点眼などの内科的治療が行われますが、
再発する場合は外科手術を行います。
「アレルギー性皮膚炎」はアトピーや食物アレルギーなどが
原因で起きる皮膚炎で、痒みや皮膚が赤くなるなどの症状が見られます。
これらの皮膚炎になると長期的なケアや、
環境や食事からアレルゲンを除去するなどの対応が必要となります。
病気は早期発見・早期治療が重要です。
アメリカンピットブルテリアの体に違和感が見られたり、
いつもと違う行動をする場合は獣医さんに早めに相談してください。
まとめ
アメリカンピットブルテリアはアメリカ原産の中~大型犬です。
筋肉質でたくましい体つきや、家族に対して愛情深い性格から
特に原産国のアメリカで根強い人気があります。
一方で咬傷事故が多い犬種としても知られており、
ヨーロッパの多くでは飼育禁止とされています。
一般家庭で飼育するのはかなり難しい犬種です。
飼育の際はアメリカンピットブルテリアに詳しい訓練士さんに
相談するなどし、適正飼育を行うことが重要です。
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