地面につきそうなほど長く大きな耳に、胴長短足の体を持つ「バセットハウンド」は、猟犬の中でもかなり個性的な犬種です。
今回はバセットハウンドについてお話しします。
「バセットハウンド」について
バセットハウンドはフランス原産の中型犬です。
胴長短足、大きく垂れた耳、弛んだ皮膚を持つバセットハウンドは
嗅覚を頼りに狩りを行う“セントハウンド”に分類されます。
名前の由来はフランス語の「バセー(足が短いことや丈が短いことの意)」
からきています。
バセットハウンドはフランスで古くから飼育されてきた犬で、
セントヒューバートというセントハウンド種を
基礎に作出されたと言われています。
18世紀後半になると貴族のスポーツだった狩猟が
庶民の間でも行われるようになりましたが、
庶民の狩猟は貴族のように馬を使って多数の犬を引き連れるものではなく、
基本的に徒歩で行われました。
足の短いバセットハウンドは人に合わせてゆっくり歩き、
優れた嗅覚で獲物を追うことができたため、
庶民の狩猟のパートナーとして重宝されたと言われます。
バセットハウンドはイギリスに渡ると、犬種としてより洗練され
1882年にイギリスのケンネルクラブに犬種登録されました。
以降は愛嬌のある顔立ちや特徴的な体型からジワジワと人気が出て、
ドラマ、CM、アニメ、キャラクターなど様々な分野で活躍しました。
中でも靴メーカー「ハッシュパピー」のバセットハウンドは世界的に有名です。
毛色のバリエーションはトライカラー、レモン&ホワイト、レッド&ホワイト、
ブラックタンなどがあります。
「バセットハウンド」の性格と飼い方
バセットハウンドはのんびりとして温厚で、物怖じしない性格です。
猟犬ですが、争いを好まず攻撃的な面もありません。
ただし、とてもマイペースで自分で決めたことは
曲げない頑固なところがあるため
しつけは根気よく行う必要があります。
他の猟犬種とは異なり、バセットハウンドは運動が得意ではなく
1日の運動量も多くはありませんが、ヘルニアになりやすいので、
肥満予防や筋肉を付けるために、適度な運動は欠かさないようにしましょう。
大きな垂れ耳は個体によっては散歩の際に引きずり、
傷つけてしまうことがあります。
気になる場合はスヌードを付けて散歩するようにしましょう。
短毛のためブラッシングは簡単ですが、
弛んだシワの部分に汚れが溜まると悪臭や皮膚炎の原因になるので
シワの間を拭くケアが必要です。
「バセットハウンド」のなりやすい病気
バセットハウンドは特徴的な体型から、
下記のような遺伝性疾患が多い犬種として知られます。
胴長短足のバセットハウンドは「椎間板ヘルニア」の好発犬種です。
椎間板ヘルニアは、椎骨と椎骨の間で、
クッションの役割をはたす「椎間板」に亀裂が生じ、
一部が飛び出してしまう病気です。
椎間板ヘルニアを起こすと、触るだけで痛がったり
動かなくなったりするなどの異常が見られます。
椎間板ヘルニアは、肥満によって発症することもあるため
体重管理には気を付けましょう。
バセットハウンドは遺伝的に「チェリーアイ」を起こしやすいと言われます。
チェリーアイは第三眼瞼(瞬膜)を固定している組織が
先天的に欠損しているため起こる眼病で、チェリーアイの犬は
結膜炎や角膜炎なども起こしやすくなります。
治療には炎症を抑えるために点眼などの内科的治療が行われますが、
再発する場合は外科手術を行います。
また、バセットハウンドはチェリーアイの他に緑内障や瞼腱外反症などの眼病も
比較的起きやすいです。
バセットハウンドは皮膚疾患が多く、大きな耳のため外耳炎を起こしたり、
被毛がべたつきやすく、脂漏性皮膚炎などを起こしやすいです。
皮膚に赤みが出ていないか、汚れが溜まって不衛生になっていないかなど
小まめにチェックして、異常が見られたら獣医さんに相談するようにしてください。
病気は早期発見・早期治療が重要です。
バセットハウンドの体に違和感が見られたり、
いつもと違う行動をする場合は獣医さんに早めに相談してください。
まとめ
バセットハウンドはフランス原産の猟犬です。
見た目通りの、のんびりとした性格ですが、
マイペースで、自分で決めたことは
曲げない頑固なところがあるので
物事を教える際には根気が必要です。
胴長短足、弛んだ皮膚や、大きな耳など
ユニークな姿が魅力的ですが、疾患も多い犬種です。
毎日の健康チェックや定期健診は
欠かさないようにしましょう。
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