大きな体に、立派な巻尾を持つ「秋田犬」は主人に忠実な日本犬として有名です。
今回は秋田犬についてお話しします。
「秋田犬」について
「秋田犬」は日本の秋田県原産、日本犬種の中で唯一の大型犬です。
元は秋田県大館市より「大館犬」と呼ばれていましたが、
国の天然記念物に指定された際に「秋田犬」の名称が一般化しました。
=秋田犬の歴史=
秋田犬の原種は江戸時代にマタギの狩猟犬や大館地方の地犬を元に作出された犬で、
狩猟犬の他、番犬や闘犬などにも使用されました。
明治時代、より強い闘犬を作るために秋田犬は外国産の大型犬と交配され、
特徴的な立ち耳や巻尾が消えるなど一時は交雑化が進みましたが、
闘犬が廃れた大正時代には「伝統的な秋田犬を保存するべき」という運動が起き、
「秋田犬保存会」が設立されました。
保存会や愛好会を中心に、交雑化されていない数頭の純血の秋田犬を繁殖した結果、
昭和6年7月に9頭の優秀犬が秋田犬として国の天然記念物に指定されました。
その後、第二次世界大戦中には、食糧難などから秋田犬の数は激減し、
飼育が許可されていたジャーマン・シェパード・ドッグとの混雑化も起きましたが、
再び熱心な愛好家が残っていた十数頭の純血の秋田犬を元に「秋田犬」を復活させました。
ちなみに戦時中にジャーマン・シェパード・ドッグと交雑化した秋田犬は
米兵が帰国する際にアメリカに持ち帰られ、
子孫たちが「アメリカン・アキタ」という別犬種として登録されています。
有名な秋田犬に、主人を待ち続けた忠犬として報道された「ハチ公」がいます。
=秋田犬の特徴=
秋田犬はがっしりとした大きな体に、三角の立ち耳、
大きな巻尾が特徴的です。
毛質は密集した短毛のダブルコートで寒さに強いです。
まれに長毛(むく毛)の秋田犬が生まれますが、スタンダードとして認められていません。
毛色は赤、白、虎。
「秋田犬」の性格と飼い方
秋田犬は勇敢で、飼い主に忠実な犬種です。
一生一人の飼い主になつく「ワンオーナードッグ」と言われることもあります。
日本犬らしく、頑固で独立心が強い面も持ち合わせます。
闘犬や番犬として使われていた歴史から、
他人や他犬に対して警戒心が強い傾向があり、攻撃的になることもあります。
これらを防ぐには秋田犬を訓練し、しっかりとコントロールすること、
しっかりと運動させてストレスを発散させること、
子犬の頃からたくさんの人や犬に会わせることです。
個体の性格によっては一般家庭では訓練が難しい場合がありますので、
出来れば訓練士などと一緒に訓練を行えると良いでしょう。
忠犬ハチ公のイメージが強く、大きくて格好良い秋田犬は
とても魅力的な犬種ですが、飼育難度は高いため、
しっかりと向き合う覚悟のある人の飼育が望ましいです。
「秋田犬」のなりやすい病気
秋田犬は下記の疾患が比較的多く見られます。
「股関節形成不全」は股関節の発育状態が悪く亜脱臼状態になる病気で、
大型犬によく見られます。
この病気になるとモンローウォークという腰を
左右に振る独特な歩行になるので、獣医さんに相談しましょう。
「胃捻転」は、何らかの原因で胃が拡張とねじれを
起こしてしまう病気で、大型犬が起こしやすいです。
早食いや食後の運動を避けるなど、対策をしっかり取るようにしましょう。
「眼瞼内反症」はまぶたが内方へ反転した状態になる症状です。
秋田犬は子犬の頃に他の犬種よりこの症状が多く見られます。
自然に治ることもありますが、目に炎症を起こすこともありますので、
子犬が目を前足で擦るなど気にする場合は、獣医さんに相談しましょう。
秋田犬は皮膚が弱い犬が多く、
「アトピー性皮膚炎」などの皮膚炎が見られることあります。
皮膚に赤みが見られたり、痒がる場合は悪化する前に
獣医さんに相談しましょう。
病気は早期発見・早期治療が重要です。
秋田犬の体に違和感が見られたり、
いつもと違う行動をする場合は獣医さんに早めに相談してください。
まとめ
忠犬ハチ公で有名な秋田犬は、日本犬唯一の大型犬です。
秋田犬は大きくて格好良く、とても魅力的な犬種ですが、
狩猟犬・番犬・闘犬などに使われていた血筋から、
飼育難度は高いため、初心者向きの犬種ではありません。
飼育をする場合は秋田犬のことをよく知り、
しっかり訓練を行うようにしてください。
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