「疥癬(かいせん)」という皮膚病をご存知でしょうか?
疥癬は人をはじめ多くの哺乳類が感染する皮膚病であり、犬の皮膚病としても存在します。
犬が疥癬に感染すると一体どのような症状が見られるのでしょうか?
今回は犬の疥癬についてお話しします。
Contents
犬の「疥癬」とは?
犬の「疥癬」は寄生虫の一種であるヒゼンダニが皮膚に寄生することで、
激しいかゆみを伴う皮膚炎を起こす感染症です。
ヒゼンダニはとても小さいダニで、肉眼では確認できません。
犬にヒゼンダニが寄生すると、ヒゼンダニは犬の体表に穴を開け、
産卵をし増殖を繰り返します。
皮膚の穿孔や、ヒゼンダニの排泄物や分泌物などの刺激により
炎症反応が起きます。
この時、犬が元々持っている免疫細胞が炎症に対して働くのですが、
異物除去の際に他の神経も刺激してしまうため、
激しい痒みを引き起こしてしまいます。
疥癬の感染経路は、主にすでに疥癬に感染している犬との接触、
感染動物に使用したブラシやバリカンの共有などです。
また、疥癬に感染している野生動物から感染することもあります。
犬の「疥癬」は人にも感染する?
犬に寄生するヒゼンダニのほとんどは
「イヌセンコウヒゼンダニ」と言うヒゼンダニです。
※稀に猫に寄生するネコショウセンコウヒゼンダニが犬に寄生することもあります。
イヌセンコウヒゼンダニは「犬」に寄生し、繁殖するのですが、
人にも一時的に寄生し、感染することがあります。
人に見られる症状は発疹や強い痒みなどです。
犬の「疥癬」の症状
犬の疥癬の症状は
- 激しい痒み
- フケ
- 発疹
- 皮膚の硬化
- 食欲不振
などです。
感染してから2~6週間ほどで症状が出始めます。
症状の多くは耳、肘、膝、お腹に表れ
重篤な場合は感染が全身に広がります。
疥癬の特徴として激しい痒みがあげられます。
激しい痒みにより、皮膚が炎症を起こし、皮膚が固くなったり、
皮膚を掻きむしることで出血や化膿が見られることがあります。
また、痒みによるストレスで食欲不振になることもあります。
犬の「疥癬」の治療方法
まずは動物病院で疥癬かどうかを診断するために、
皮膚を削り顕微鏡でヒゼンダニや卵を見つけます。
疥癬と診断されたらダニ駆除薬を使用し、
皮膚に炎症を起こしている場合は二次感染を防ぐために、
抗生物質を使用します。
また、犬の状態に合わせて薬浴をすることがあります。
完治するまでには時間がかかりますので、途中で治療を勝手に止めたりせず、
獣医さんの指示にしっかり従うようにしましょう。
犬の「疥癬」の予防方法
犬の疥癬はワクチンなどで予防できる感染症ではありませんが、
感染犬との接触や衛生面に気を付けることが予防に繋がります。
感染犬との接触に気を付ける
疥癬は不衛生な場所で、多頭飼育されている犬に多く発生します。
このような場所にいる犬と接触したり、引き取る場合は、
疥癬に感染している可能性を考えて、
飼い犬とすぐに接触させないように気を付けましょう。
犬と生活環境を清潔に保つ
生活環境を清潔に保ち、犬の体を定期的に洗うなど
ヒゼンダニに感染しにくい状態を維持しましょう。
多頭飼育で疥癬に感染している犬がいる場合は、
毛布やベッド、ブラシなどにヒゼンダニが付着することがありますので、
感染犬が使用したものは洗濯し、
ブラシなどの共有は避けるようにしましょう。
まとめ
犬の「疥癬」はとても激しい痒みを引き起こす皮膚病です。
犬から人にも感染し、一時的に痒みなどの症状を引き起こすことがあります。
疥癬の原因であるヒゼンダニとの接触を避けるのが予防方法となります。
多頭飼育の場合、一頭が疥癬になると
他の犬にもどんどん感染する可能性があるので、
感染犬をしっかり隔離し、接触しないように管理しましょう。
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