犬の口腔内トラブルの一つとして有名なのが「歯周病」です。
「歯周病」は人にも存在する病気ですが、犬は人よりも歯周病になりやすく、3歳以上の犬の8割が歯周病になっているとも言われます。
今回は犬の「歯周病」についてお話しします。
犬の「歯周病」とは
「歯周病」は、歯周組織に炎症が起きている状態の総称です。
炎症が歯茎に起きている状態を「歯肉炎」と言い、
歯を支える周辺組織にまで炎症が起きている状態を「歯周炎」と言います。
歯周病の原因は「歯石の中に含まれる細菌」です。
(「歯石」は食べカスや細菌などが含まれた「歯垢」が
唾液中のカルシウムを取り込んで石灰化したものを言います)
歯周病は、歯と歯茎の間に歯石による細菌が入り込み炎症を起こす「歯肉炎」から始まり、
その後「歯周炎」になり、さらに悪化すると歯が抜け落ちることもあります。
歯周病は早いと3歳ぐらいから見られるようになりますが、
特に酷い歯周病は7歳以上の犬に多く見られます。
歯垢が歯石になる期間は人では約3週間と言われますが、
犬は約1週間とかなりの速さです。
そのため犬は人よりも歯石が付着しやすく、
歯周病にもなりやすいと言えます。
そして厄介なことに歯石が付いてしまうと
歯みがきでは取り除くことが出来ません。
動物病院での処置を行わない限り、歯周病になるリスクが常にあると言えます。
犬の「歯周病」の症状
犬が歯周病になると下記のような症状が見られます。
- 歯肉の腫れ・出血
- 口臭
- ヨダレ
- 歯がグラグラする
- 食欲不振
- 歯瘻(しろう)
- 全身性疾患
細菌による炎症から歯肉が腫れ、
痛みから食欲不振になることがあります。
症状が進行すると、細菌が骨まで溶かし、
目の下や歯茎に穴が空く歯瘻(しろう)を起こすこともあります。
また、細菌が全身に流れていくことにより、
心臓や腎臓など、様々な臓器に疾患を起こすこともあります。
犬の「歯周病」の治療方法
- 歯垢・歯石の除去
- 抜歯
歯周病の治療は全身麻酔を行い、
歯周病の原因となっている歯垢・歯石を取り除く必要があります。
除去にはスケーラーなどの金属器具や、超音波スケーラーなどを使用し、
歯周ポケット(歯と歯茎の境目の溝)もきれいにします。
軽度の場合は歯石を取り除くことで回復しますが、
重度の場合は抜歯を行う必要があります。
歯周病が原因の臓器疾患が見られる場合は、
その疾患に合わせた治療も行います。
犬の「歯周病」の予防方法
犬の歯周病を予防するには「歯みがき」を行うことです。
しかし、犬に歯みがきを行うのは難しいので、
歯みがきを諦めてしまっている飼い主さんも多いと思います。
獣医さんが歯みがき教室を開催していることがあるので、
参加してコツを学ぶのも良いでしょう。
どうしてもブラシでの歯みがきが難しい場合は、
歯みがきシートや歯みがきスプレー、歯みがきトリーツなども利用して
無理なく歯のケアを行うと良いでしょう。
まとめ
犬の「歯周病」は炎症から食欲不振になってしまったり、
歯が抜けることもある、怖い病気ということが分かりましたね。
人も犬も長生きのために「歯の健康」はとても大事です。
歯みがきケアを行い、なるべく歯石が付かないようにしましょう。
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