メス犬の発情が終わった後にお乳が出たり、巣作りを行ったりと
交尾をしていないのにまるで妊娠したような行動をすることがあります。
このような犬の行動や状態を「偽妊娠(ぎにんしん)」と言います。
犬の「偽妊娠」とは
メス犬は小型犬で生後7ヶ月から10ヶ月の間、
大型犬で生後8ヶ月から12ヶ月の間に初めての発情期(ヒート)を迎え、
その後は半年から1年周期で発情します。
犬は発情期に排卵すると、卵巣の黄体と呼ばれる機関が機能します。
黄体から妊娠維持に必要な「プロゲステロン」というホルモンが出るのですが、
このホルモンは妊娠していなくても分泌されます。
その後、妊娠するとプロゲステロンの分泌が低下し、
乳腺を刺激するホルモン「プロラクチン」が分泌されます。
プロラクチンは妊娠していない場合は微量しか分泌されないのですが、
偽妊娠の場合は、プロラクチンが妊娠している犬と同じぐらい分泌され、
体や行動にまるで妊娠しているかのような変化が起こります。
発情時にオス犬との接触があった場合は、妊娠の可能性がありますが
一切接触がなく、交配した可能性がゼロの場合は「偽妊娠」と言えます。
犬の「偽妊娠」の体の変化・行動
犬が「偽妊娠」になると下記の体の変化・行動などが見られます。
- 乳腺が腫れる
- お乳が出始める
- 巣作りを始める
- ぬいぐるみなどに対して子育て行動をする
- 食欲減退
- 攻撃的になる
まるで妊娠しているかのような体の変化・行動が見られますが、
ホルモンが元に戻ると自然と収まっていきます。
偽妊娠か妊娠なのかわからない場合は
動物病院でエコーを取ってもらうことで判別できます。
犬の「偽妊娠」の予防方法
偽妊娠は、メス犬が発情・妊娠が可能な限り起きますが、
避妊手術をすることで予防出来ます。
偽妊娠自体は病気ではなく、どんなメス犬にも起こる可能性があり、
また、自然と収まっていくため治療は必要ありません。
しかし、偽妊娠を発情の度に繰り返す場合は
子宮内膜が長期間にわたって充血するため、
子宮蓄膿症や乳腺腫瘍、乳腺炎などの
メス犬特有の病気を誘発する確率が上がります。
この場合は、避妊手術を行うことでリスクの回避ができます。
ぬいぐるみなどを子犬代わりにしている場合は、
偽妊娠を長引かせないようにするために、
飼い主さんがしっかりと管理するようにしましょう。
まとめ
「偽妊娠」は未避妊のメス犬であればどんな子でも起こり得ます。
偽妊娠の体の変化や行動は時間が経過すれば自然と収まりますが、
発情の度に乳腺が腫れて痛みが出たり、
飼い主さんに対して攻撃的な行動が見られる場合は
犬の負担を考えて、避妊手術をするのも一つの方法と言えるでしょう。
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