お尻をズリズリしたら要注意!猫の「肛門嚢炎」について

猫がお尻をズリズリと床に擦りだすことはありませんか?

一見面白い動きに見えますが、猫がこの動きをする場合はお尻に肛門腺液が溜まっていて、肛門嚢炎(こうもんのうえん)を起こしている可能性があります。

今回は猫の肛門腺と肛門嚢炎についてお話しします。

猫の「肛門腺」とは

「肛門腺」は猫の肛門の左右に1つずつ存在し、
自分のにおいを周囲に知らせるための分泌器官です。

肛門腺で作られた分泌物は一度「肛門嚢(こうもんのう)」という袋状の物に溜められ、
通常は排便時に一緒に排泄されます。

分泌物の色は緑から黒色、形状はサラサラしていたり、
ドロドロしていたり個体差があります。

猫の「肛門嚢炎」とは

肛門嚢に溜まった分泌物が排泄されず溜まり続けると、
分泌液の中で細菌が繁殖し、炎症が起こります。

この状態が「肛門嚢炎」で、下記のような症状や行動が見られます。

  • 肛門周辺の腫れ・赤み
  • お尻を引きずる・気にする
  • 痛みで鳴く
  • 便が出にくくなる

さらに、炎症を起こしたまま放っておくと、破裂したり、腫瘍化したりします。

猫は犬と比べて肛門嚢炎になりにくいと言われますが、
生まれつき肛門腺液を自力で出しにくい猫や、
肥満や加齢による筋力低下で肛門嚢炎になる猫もいます。

猫の「肛門嚢炎」の治療

肛門嚢炎を起こした場合、下記の治療を行います。

  • 肛門腺絞り
  • 内科治療
  • 外科治療

軽度の場合は、手で肛門腺を押すことにより溜まった分泌物を排泄させる
「肛門腺絞り」を行います。

炎症がひどい場合や、破裂を起こしている場合は、
繁殖した細菌を殺すために、抗生物質の投与や消毒を行います。

再発を何度も繰り返す場合は、獣医さんと相談して肛門嚢の摘出をすることもあります。

猫の「肛門嚢炎」の予防

猫の肛門嚢炎を予防するには下記のことを行いましょう。

  • 飼い主が定期的に肛門腺を絞る
  • プロに定期的に肛門腺を絞ってもらう

飼い主が定期的に肛門腺を絞る

猫の肛門腺は飼い主さん自身で絞ることができます。

猫がお尻を気にしたり、ズリズリ床に擦りつけたりしている時は、
肛門腺が溜まっている可能性がありますので、肛門腺を絞ってあげましょう。

肛門腺は肛門の左右(時計の針で8時4時)の位置にあります。
この位置を指で下から上へ押し上げ、摘まむように手前に引くと
分泌物が出ます。

少々コツがいりますので、難しい場合は
獣医さんやトリマーさんに指導してもらいましょう。

自宅で簡単にケアができるようになると、
猫の負担を軽減することができます。

プロに肛門腺を定期的に絞ってもらう

猫の肛門腺絞りは個体によっては、
なかなかうまくできないことがあります。

どうしても自分で肛門腺絞りが出来ない場合は、
定期的にプロにお願いしましょう。

肛門腺絞りは、トリミングサロンや動物病院で行ってくれます。

まとめ

猫の「肛門嚢炎」は定期的な肛門腺絞りを行うことで防げる症状です。
お尻を引きずるなど、気になる行動をしていないかチェックするようにしましょう。