犬は人が大好きで、家の中で飼っていると飼い主さんにべったりくっついてくることがあります。
一見すると犬が甘えてくるとてもかわいい状態ですが、この関係が行き過ぎてしまうと、犬は飼い主さんがいない状況下で「不安」になってしまい、様々な問題行動を起こす「分離不安症」という症状になることがあります。
Contents
犬の「分離不安症」とは
飼い主さんが不在になると精神的・肉体的に不調になり、
ストレスや不安から様々な問題行動を起こしてしまう状態を
「分離不安症」と言います。
分離不安症は犬の精神的疾患である「不安障害」の一つです。
犬が「分離不安症」を起こしてしまう原因
犬が「分離不安症」を起こしてしまうのには様々な原因があります。
- 飼い主さんへの依存
- 生活環境の変化
- 過去のトラウマ
- 加齢による精神不安
飼い主さんへの依存
飼い主さんが過剰に犬を可愛がり、
すぐに要求に応えるなど過度に甘やかしてしまうと、
犬が飼い主さんに依存してしまい分離不安症になることがあります。
生活環境の変化
引っ越し、飼い主さんの出産、新しい犬が増えたなど
生活環境に大きな変化があると分離不安症になることがあります。
過去のトラウマ
1匹で留守番していた時に雷や花火など大きな音が鳴った、
飼育放棄をされた(飼い主さんが帰って来なかった)など
1匹でいる時に不安なことが起きると分離不安症になることがあります。
加齢による精神不安
加齢から視覚や聴覚が衰えると周囲に対して敏感になり、
分離不安症になることがあります。
犬の「分離不安症」の症状・行動
分離不安症の犬には程度の差はありますが、
よく下記の行動が見られます。
飼い主不在時に見られる症状・行動
- 破壊行動をする
- ずっと吠え続ける
- 嘔吐・下痢をする
- 排泄を失敗する
- 体を舐めたり噛んだり自傷行為をする
飼い主在宅時に見られる行動
- 常に飼い主の後についてくる
- 姿が見えなくなると吠えるなどパニックになる
- 外出しようとすると吠える
- 帰宅するとおしっこを漏らす
また、ペットホテルなどに預ける際も
このような症状・行動が見られ、
不安によるストレスから体調を崩すことがあります。
犬の「分離不安症」の改善方法
犬の分離不安症を改善するには
犬を自立させて飼い主さんとの正しい関係を築く
「行動療法」を中心に行います。
- 犬を甘やかし過ぎず適切な距離を保つ
- ケージやサークルを利用し落ちつける場所を作る
- 留守番の練習をする
- 留守番を特別なことにしない
- 薬を処方してもらう
犬を甘やかし過ぎず適切な距離を保つ
犬を過度に甘やかしたり、犬の要求に応えすぎると
犬は飼い主さんに依存しすぎてしまいます。
要求をされても無視をしたり、一匹で遊ぶ時間を設けたり、
ハウスに入れるなど「犬が一匹で過ごす」ことに慣れさせましょう。
またオスワリ、マテ、ハウスなどのトレーニングを行うと
犬が精神的に落ち着きやすくなります。
ケージやサークルを利用し落ちつける場所を作る
普段から犬の落ち着ける場所としてケージやサークルを
用意するようにしましょう。
お留守番時はこの落ち着ける場所にいることで、
分離不安症を起こしにくくなります。
留守番の練習をする
サークルやケージの中に入れて「留守番」の練習をしていきます。
- 短時間で行い、吠え出す前に戻る
- 飼い主さんが外出することに悪いイメージを付けない
- 留守番を特別なことにしない
「飼い主さんがいなくても問題行動を起こさないこと」を強化するために
短時間で行い、吠えるなどの問題行動が起きる前に戻ります。
また「飼い主さんが外出する=不安」のイメージを付けないために
おやつを入れることができるおもちゃ(コングなど)を用意して、
家を出る際に与えます。
留守番を特別なことにしない
飼い主さんが家を出る時や、帰宅時などは
犬にとっては特に不安になったり、興奮したりする
“特別なこと”になります。
家を出る前は犬に声をかけたりせず、
帰宅時も大げさに声をかけないなど、
“特別なこと”にしないよう心がけましょう。
薬を処方してもらう
あまりにも分離不安症の症状がひどい場合は、
獣医さんに相談すると分離不安症用の薬を処方してもらえます。
薬物療法はあくまで行動療法のサポートとなりますので、
基本的には行動療法で犬の自立を目指します。
分離不安症を改善するには時間がかかります。
特にトラウマを抱えている場合などは、
すぐに変化が見られないことがあります。
あまりにも重度の場合は飼い主さんだけで対処しようとせず、
獣医さんやドッグトレーナーなど専門家に相談しましょう。
まとめ
犬の「分離不安症」は犬の精神的疾患である「不安障害」の一つです。
分離不安症の原因は様々なため、その子に合った対処法が必要となりますが、
基本的には「不安を取り除く」「1匹でいることに慣れる」ように
環境を整えたり、トレーニングを行います。
分離不安症を改善するには時間がかかります。
重度の場合は飼い主さんだけで対処しようとせず、
獣医さんやドッグトレーナーなど専門家に相談してみましょう。
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