誤飲をしたら要注意!犬の「腸閉塞」について

犬はおもちゃを口に咥えたり、噛むことが大好きですね。

しかし、口に咥えていたと思ったらそのまま飲み込んでしまうことがあります。

誤飲をした場合、そのまま便や嘔吐物の中に出てくることもあるのですが、出てこない場合は「腸閉塞」を引き起こす可能性があります。

犬の「腸閉塞」とは一体どのような症状なのでしょうか。

犬の「腸閉塞」とは

犬の腸閉塞(別名:イレウス)は、腸に何かが詰まってしまい、
正常に機能しなくなった状態を言います。

腸閉塞には腸の血管が損傷していない
「単純性腸閉塞(たんじゅんせいちょうへいそく)」
腸の血管が損傷している
「絞扼性腸閉塞(こうやくせいちょうへいそく)」があります。

絞扼性の場合は腸管に浮腫と充血、腸壁の低酸素症と梗塞、
細菌の異常増殖および毒素の蓄積が起こります。

そのため、迅速に治療を行わないと敗血症を起こして死亡することがあります。

犬の「腸閉塞」の原因

犬の腸閉塞の原因は「異物の誤飲」が多くを占めます。

異物を誤飲しても小さい物であれば、
便や嘔吐物に混ざり体外に出されることもありますが、
体外に出ない大きさの物はそのまま腸内に留まり、腸を閉塞させてしまいます。

腸閉塞の原因になる異物は「おもちゃ」や「ペットシーツ」、
「トウモロコシの芯」や「果物の大きな種」など消化されない物です。

これらの物を飲み込むことで、腸管が詰まり腸閉塞を起こします。

その他の原因としては

  • 大量の腸管内寄生虫
  • 腫瘍
  • 腸の癒着
  • 腸重積(ちょうじゅうせき)
  • 嵌頓(かんとん)ヘルニア

などがあります。
※腸重積は腸管の一部がそれに続いている腸管の中に入り込んだ状態を言い、
嵌頓ヘルニアは鼠径ヘルニアなどの腹壁にできた穴に腸管が入り込み、
締め付けられたことにより血が巡らなくなった状態を言います。

犬の「腸閉塞」の症状

完全に腸が塞がれているか否か、閉塞の起こっている部位によって
症状の現れ方や程度に違いが見られます。

腸閉塞の一般的な症状は

  • 嘔吐
  • 沈うつ
  • 食欲不振
  • 腹痛
  • 腹部膨満
  • 便秘

などですが、
絞扼性の場合はさらに激しい腹痛やショック症状が見られます。

誤飲による腸閉塞は、犬が誤飲したことがわかれば
(おもちゃの喪失・誤飲した物の残骸が落ちているなど)判断が付きますが、
見た目や症状だけでは胃腸炎と間違えることがあります。

嘔吐や腹痛の症状が激しかったり長く続く場合は、
一時的な胃腸炎ではなく「腸閉塞の可能性」があるため、
病院に行くことをお勧めします。

犬の「腸閉塞」の治療方法

腸閉塞の治療方法は、閉塞の原因となっている物を手術で取り除くことです。

異物の場合は異物の除去、壊死している場合や
腫瘍の場合はその部位を取り除きます。

手術の前にまず、身体検査やX線検査、X線造形検査、超音波検査などで
腸内部の状態を確認し、血液検査で全身状態を把握します。

その後脱水に対する治療として輸液を行い、
ショック状態に陥っている場合は抗ショック治療も行います。

そして状態が安定した後、ただちに手術を行います。

犬の「腸閉塞」の予防方法

腸閉塞の原因である「異物の誤飲」はある程度飼い主さんの管理で予防できます。

異物を誤飲してしまう犬の場合、
布やゴム製品、紐状の物など特定の物に執着していることがあります。

つまり犬に執着する物が存在し、その物が口に入る大きさであれば
誤飲する可能性があるのです。

予防方法としては

  • 犬の届く範囲に誤飲しそうなものを置かない
  • 誤飲の危険性がある犬を、飼い主の目の届かない状況にしない
  • 犬が何かを口に咥えたら「オフ」などの指示で口からすぐに出せるようにする
  • おもちゃは遊びっぱなしにせず、しっかり回収する

などがあります。

また、消化できない食べ物の一部(トウモロコシの芯・果物の種など)でも
腸閉塞を起こすことがありますが、
これらはゴミとして捨てた物を犬が食べてしまうことが多いです。

予防方法としては

  • ゴミ箱は蓋つきの物を使用する
  • 留守番時にフリーにしない(またはゴミ箱のある場所に入れないようにする)

などがあります。

誤飲癖のある子は腸閉塞を起こす危険性が高いですが、
どんな犬でも環境の変化やストレスなど、
ふとしたタイミングで誤飲することがありますので注意しましょう。

まとめ

犬の腸閉塞は、腸が詰まってしまうことで
命の危険もある怖い症状ということが分かりましたね。

腸閉塞の原因で最も多く見られるのが誤飲です。

元々犬は何かを口に咥えたり、噛むことが大好きなので、
誤飲をしやすい動物です。

「うちの子は絶対大丈夫!」と過信せずに、
犬の口が届く場所に誤飲しそうな物を置くのは止める、
誤飲をしそうな状況(留守番時など)はフリーにしないなど、
誤飲防止をするようにしましょう。