犬の感染症は複数存在しますが、今回はアデノウイルスが原因で引き起こされる「犬伝染性肝炎」についてお話しします。
犬伝染性肝炎とは
「犬伝染性肝炎」は犬アデノウイルス1型により発生する
イヌ科動物の病気で、肝炎を特徴とします。
犬伝染性肝炎は、犬アデノウイルス2型が引き起こす
「犬伝染性喉頭気管炎」とともに
「犬アデノウイルス感染症」と総称されることもあります。
犬伝染性肝炎は、離乳直後から1歳未満の幼齢犬で高い発症率と死亡率が見られます。
犬アデノウイルス1型は外部環境に対する抵抗性が強く、
室温で数か月間は感染力を持ちます。
ウイルスは感染犬の分泌物や排泄物との接触によって経鼻、経口感染します。
そして扁桃腺からリンパ組織へと移動し、その後血液に入って全身に広がります。
犬伝染性肝炎の症状
アデノウイルス1型の感染が全身に広がると、数時間以内に
- 腹痛
- 嘔吐
- 下痢
- 高熱
- 扁桃腺の腫れ
- 口腔粘膜の充血
- 点状出血
などの症状が見られます。
急性肝炎を起こすことがあり、
その場合は犬の肝臓の位置を手で押すと
痛がるそぶりを見せ、触られるのを嫌がります。
重症例では虚脱状態になり、12~24時間で死亡することがありますが、
症状をあまり示さないもの(不顕性型)や、
軽い発熱と鼻水程度のもの(弱症型)など、症状には幅があります。
回復期には目に一時的に“ブルーアイ”と呼ばれる
角膜混濁が見られることがあります。
犬伝染性肝炎の治療方法
犬伝染性肝炎に効果のある薬はなく、
肝臓の機能を回復させる輸液などの対症療法や
食事療法を行います。
犬伝染性肝炎の予防方法
犬伝染性肝炎は混合ワクチンで予防できます。
犬アデノウイルスは1型と2型が存在し、
1型は犬伝染性肝炎、2型は犬伝染性喉頭気管炎を引き起こすのですが、
このどちらも混合ワクチンで予防することができます。
犬ジステンパー感染症や犬パルボウイルス感染症など、
他の怖い感染症も予防することができるので毎年接種しましょう。
まとめ
犬伝染性肝炎は、特に幼齢犬で高い発症率と死亡率が見られる感染症です。
混合ワクチンで予防することができるので、毎年の接種を行いましょう。
子犬は母親から受け継いだ免疫力の関係で
初年度は2、3回の接種を行います。
獣医さんに相談してください。
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