犬の股関節形成不全は関節の病気で、発症すると「特徴的な歩行」が見られるようになります。
この「特徴的な歩行」は子犬の頃から見られるので、
早い段階で症状を見つけることができます。
早いうちに症状に気付けると、早期の治療や対応が可能で、経過を観察することも出来ます。
では股関節形成不全を早期発見するためには
どのようなことをすればいいのでしょうか?
犬の股関節形成不全の早期発見方法
股関節形成不全の早期発見方法は、
日常に見られる「犬の歩行チェック」がとても重要です。
股関節形成不全には特徴的な症状の一つに
「モンローウォーク」と呼ばれる
腰を左右に振りながらの歩行が見られことがあげられます。
痛みなど出ていない段階でも、この歩行が見られる場合は
「股関節形成不全」である可能性があります。
歩行は普段の散歩で確認することができますので
チェックは欠かさないようにしましょう。
その他には下記のような症状が見られます。
- 歩行時に腰が左右に揺れる(モンローウォーク)
- 散歩を嫌がる
- 走る時に後ろ両足がそろったウサギ跳びになる
- ジャンプを嫌がる
- すぐに座りこんでしまう
- ちゃんと座れず、足を崩して座る
モンローウォークだけが見られてその他の症状がみられていない場合も、
股関節形成不全の軽度の症状がみられる、いわゆる予備軍ですので
予防を欠かさないようにしましょう。
一番症状が多く出るのが生後6~8か月齢くらいで、痛みを訴え出します。
若い犬の場合、成長に従って自然に改善される場合もあります。
重度の関節炎にまで進行すると、激しい跛行が見られます。
股関節形成不全悪化の予防方法
- 程よい運動と制限を行う
- 関節に負担の少ない環境を整える
- 体重管理を行う
- 食事の改善
股関節形成不全にかかりやすい成長期の子犬は、
運動量や運動内容がとても重要です。
関節に強い圧力をかけるような運動(ディスクなどのジャンプ)はよくありません。
軽いランニングや水泳等の適度な運動をして
筋肉量を保つことをメインにしましょう。
膝蓋骨脱臼や椎間板ヘルニアなどと同じように、
室内の環境を整えることが重要です。
フローリングで滑らないようにカーペットやフロアマットを敷いたり、
滑り止めのワックスをかけたりしましょう。
体重の増加は関節に負担をかけますので、肥満にさせないように注意します。
食事内容に関節に良いサプリメント(グルコサミン、コンドロイチンなど)を
加えて与えるのも良いでしょう。
ここからは股関節形成不全について詳しくお話していきます。
犬の股関節形成不全とは
股関節形成不全とは股関節の発育状態が悪く、
骨盤のへこみが浅いため大腿骨の先が抜けやすく
慢性的な亜脱臼状態となってしまう病気です。
完全に脱臼してしまったり、関節炎を起こすこともあります。股関節形成不全は70%が遺伝的要因で、30%が環境要因といわれています。
親犬が形成不全同士の場合は高確率で遺伝します。
また股関節形成不全は大型犬に多く見られ、多発犬種は下記になります。
- ラブラドール・レトリーバー
- ゴールデン・レトリーバー
- ジャーマン・シェパード
- バーニーズ・マウンテンドッグ
- ニューファンドランド
これらの犬種の中で、日本で最も多く飼育されているのはレトリーバー系になりますが、
人気犬種ゆえに遺伝病を無視して繁殖する業者も多くいるため、
親犬をしっかり確認できるブリーダーで犬をもらい受けるという事が
重要になります。
股関節形成不全は遺伝が大きく関係しています。
もし愛犬が股関節形成不全の場合は繁殖させないようにしましょう。
股関節形成不全の治療
股関節形成不全の治療には
- 内科治療
- 外科治療
の二種類があります。
内科治療…股関節形成不全の犬は慢性的な痛みを訴えることは少なく、
間欠的に痛みが出ることが多いようです。
痛みが現れた場合、痛み止めの投与などにより症状を一時的に抑えることが出来ます。外科治療…内科治療を行って効果が見られない場合は、外科手術となります。
手術は犬の年齢、体の大きさ、症状に合わせていくつかの方法があります。
まとめ
股関節に負担のかかりにくい環境にしてあげることは
股関節形成不全のわんちゃんの症状の悪化を防ぐとともに、
歩行に無理のない生活を送らせてあげる事が出来ます。
早期に発見が出来たらその分、環境やケアに力を入れられるので
日常的にわんちゃんの歩行チェックを行うようにしましょう。
アクティブな犬種が運動制限になるととても悲しいですが、
負担のかからない運動をさせて運動欲を解消させてあげましょう!
股関節形成不全になりやすい犬種には水泳が好きな犬種が多いので、
環境が整えられれば、水泳はおすすめの運動です。
最近のコメント