猫の感染症はいくつも存在しますが、その中でも死亡率の高い胃腸炎として有名なのが「猫汎白血球減少症」です。
今回は「猫汎白血球減少症」がどのような感染症なのか詳しくお話しします。
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猫汎白血球減少症とは
「猫汎白血球減少症(別名:猫パルボウイルス感染症、猫伝染性腸炎)」は
猫パルボウイルスに感染することで発症する伝染性の胃腸炎です。
大変強い感染力を持つ死亡率の高い病気として知られ、
激しい嘔吐や下痢の他に白血球の減少が認められる場合はこの病気を疑います。
ウイルス感染した猫の排泄物に、ウイルスも同時に排泄されるため、
感染猫の排泄物に直接または間接的に触れることで経口感染します。
症状が回復した猫もウイルスを保有しているため、数か月の間排泄物にウイルスを排泄します。
猫汎白血球減少症の症状
- 白血球減少
- 40~42℃の発熱(猫の平熱は38℃位)
- 食欲不振
- 嘔吐
- 下痢
初期には食欲不振や発熱などの一般的な体調不良と区別のつかない症状が見られ、
嘔吐や下痢などの消化器の症状が見られるのは末期です。
細菌の二次感染や極度の脱水症状により死亡することもあります。
また、ウイルスが心筋細胞に取り付いた場合は心筋炎となり、
突然死することもあります。
どの年齢の猫も猫パルボウイルスの感染を受けますが、
子猫ほど症状が出やすく、死亡率も90%ほどになりますので、
子猫を飼い始めた時などは特に注意が必要です。
成猫は感染しても無症状や軽症の場合が多いです。
猫汎白血球減少症の治療方法
- 抗生物質の投与
- インターフェロンの投与
- 点滴治療
猫パルボウイルスを直接排除する方法がないため、
二次感染を防ぐための対症療法が主となります。
白血球減少に伴い、免疫力が低下するため
免疫力向上が期待できるサプリメントを
食事に加えることも良いでしょう。
猫汎白血球減少症の予防方法
- 混合ワクチンによる予防接種
- 野良猫との接触に注意する
- 感染猫がいる場合は隔離する
混合ワクチンによる予防接種
猫汎白血球減少症は、混合ワクチンの接種で予防することができます。
ワクチン未接種で免疫のない個体への感染率はほぼ100%と言われる病気ですが、
ワクチンによる予防効果が確実にみられています。
また一度感染して回復すると強力な免疫ができ、
一生猫パルボウイルスには感染しなくなります。
野良猫との接触に注意する
ワクチンの普及により、猫汎白血球減少症に感染する猫は減ってきましたが、
ワクチン未接種の野良猫の中では以前として感染が多く見られます。
そのため猫を室内飼育にし、野良猫との接触を避けることは予防に繋がります。
また、パルボウイルスは非常に強力で感染力が高く、飼い主の靴などに付着し
家の中に持ち込んでしまうことがあります。
野良猫や室外にいる猫との接触には十分注意しましょう。
感染猫がいる場合は隔離する
多頭飼育で猫汎白血球減少症に感染している猫(もしくは感染の疑いの猫)がいる場合は、
部屋を隔離し、食器も分けて他の猫への感染を防ぐようにしましょう。
感染猫の使用している食器やトイレは塩素系の消毒剤で消毒します。
まとめ
予防接種の普及により、猫汎白血球減少症に感染する猫は以前に比べて減りましたが、
野良猫の間では感染が多く見られます。
飼い猫を室内飼育にする、予防接種をするなど感染のリスクを減らすようにしましょう。
子猫は感染すると重症化しやすいため、子猫を飼い始めたときは特に注意をしましょう!
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