シニア犬に多い、「突発性前庭疾患」について

ある日突然、シニア犬がフラフラとして、上手く立てなくなったり、倒れてしまうことがあります。

足腰の状態に関係なく、突然このような症状や
斜頸が見られる場合は「突発性前庭疾患」の可能性があります。

犬の突発性前庭疾患とは

犬の突発性前庭疾患は、どの犬種でもなり得る疾患で、
中年齢~高齢になってから発症することが多いです。

見られる症状は

  • 平衡異常
  • 見当識障害
  • 運動失調
  • 捻転斜頸(首が傾いたようになる)
  • 眼振(眼球がグルグル回る)
  • 嘔吐
  • 悪心(胸のむかつきによる吐き気)
  • 食欲不振

などがあります。

目がグルグル回り、車酔いのような状態になるため、
上手く歩けず、倒れたり、吐き気や食欲不振になってしまいます。

症状は通常数日で安定し、数週間かけて改善していきますが、
斜頸などの後遺症が残ることもあります。

犬の突発性前庭疾患の原因

犬の突発性前庭疾患は、
三半規管に繋がる内耳の「前庭」という部分に
異常をきたすことにより発生すると言われます。

原因として

  • 脳疾患
  • 脳腫瘍
  • 脳炎
  • 耳の感染症
  • 内耳炎
  • 内耳の腫瘍
  • 甲状腺機能低下

などが考えられます。

耳鏡検査やエックス線検査、MRI検査などを行い
原因を調べますが、老年性の前庭疾患の場合は
「原因不明」と診断されることが多いです。

犬の突発性前庭疾患の治療&予防

腫瘍などが原因の場合、取り切れる部位であれば外科手術、
細菌感染などが原因の場合は抗生物質の投与などを行います。

原因が明確な場合は治療を行いますが、
「原因不明」の場合は治療を行わず、自然回復を待ちます。

老齢性の場合、予防は難しいですが、
原因の一つでもある耳の感染症を防ぐという意味では、
耳の中を清潔に保つことや、
ノミ・ダニの予防などに気を付けることは大切な事と言えるでしょう。

突発性前庭疾患を起こした愛犬との付き合い方

発症しても少しずつ回復していくことが多い突発性前庭疾患ですが、
今まで普通に歩けていた愛犬が突然フラフラと歩くようになると、
飼い主さんは混乱してしまいますよね。

なかなか回復しなかったり、後遺症として上手く歩けなくなることもありますので、
上手に愛犬の動きをサポートするようにしましょう。

急に倒れてしまう場合はクッションやカーペットなど
床をやわらかい素材にすることで愛犬の負担を減らすことができます。

上手く歩けなくなると、お散歩も難しくなりますが、
認知症や、筋力低下予防のためにも、
症状が回復してきたら短い時間からお散歩をするようにしましょう。

お散歩で上手に歩けない場合は、下半身を支えてあげたり、
介助ハーネスを使用したりします。

突発性前庭疾患は自然回復する傾向のある疾患ですが、
シニア犬ですのでこの病気をきっかけに体力が低下したり、
少しずつ色々な症状が出てくることもあります。

病気予防を意識して、食事に免疫力強化のサプリメントを加えたり、
シニア犬が過ごしやすいように、環境改善をするなどしてみましょう。

まとめ

愛犬の加齢と共に起きる症状の一つでもある「突発性前庭疾患」。
昨日までは普通だった愛犬の様子が突然変わってしまうので、
飼い主さんは混乱してしまうことが多いですが、
自然回復していくことが多い症状ですので、
回復するまで上手に支えてあげましょう。