造血系腫瘍で最も多い、猫の「悪性リンパ腫」について

ネコちゃんの「悪性リンパ腫」は発症すると、食欲不振などの症状が見られますが、一時的な体調不良と思って放置してしまうと、平均で4~8週間で死に至るとも言われる、恐ろしい病気です。

今回はネコちゃんの「悪性リンパ腫」について詳しくお話していきます。

猫が「悪性リンパ腫」になる大きな原因の一つは?

猫の悪性リンパ腫の大きな原因の一つに
猫白血病(猫白血病ウイルス感染症)が関連していると言われます。

猫のリンパ腫は「猫白血病ウイルス感染症:FeLV」や「猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ):FIV」の感染率が腫瘍発生に深く関わっていることです。「猫白血病ウイルス感染症」が陽性の猫がリンパ腫を発症する危険性は約60倍,「猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)」が陽性の猫は5倍,両方が陽性の猫では80倍と言われています。

引用:http://www.ishido-ah.com/hospitalnews/016/index2.html

しかし、猫白血病や猫エイズに感染していなくても
悪性リンパ腫を発症することもあり、
高齢化やストレス、免疫力の低下、発がん性物質の摂取など
様々な原因が複雑に絡んでいるとも考えられています。

猫の「悪性リンパ腫」の症状

猫の「悪性リンパ腫」は体中に存在するリンパ球がガン化する病気で、
最もよく認められる造血系腫瘍です。

悪性リンパ腫はリンパ組織の中で腫瘤を作り、どんどん増えていきます。
リンパ球は全身に存在するため、腫瘤のできる場所による型があり、
症状もそれぞれ異なります。

縦隔型

猫白血病に感染していると特に発生が多く、全年齢で発症が見られるタイプです。

胸腔内に腫瘤を作り、胸水を貯留するため、

  • 呼吸困難
  • チアノーゼ
  • 運動量の低下
  • 食欲不振
  • 食道圧迫による嘔吐

などの症状が見られます。

消化管型

腸管組織内に腫瘤を作ったり、腸間膜のリンパ節が腫れたりするタイプです。
老齢の猫に多く見られます。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 削痩
  • 腹膜炎

などの症状が見られます。

多中心型

体表のリンパ節の腫れが起こるタイプです。このタイプは犬に多く見られます。
全身のリンパ節が腫れるのが通常ですが、一つのリンパ節が腫れることもあります。

  • リンパ節の痛み、腫れ
  • 全身性の発熱
  • 食欲不振
  • 虚弱

などの症状が見られます。

その他少数として皮膚型、腎型などがあります。

猫の「悪性リンパ腫」の治療方法

猫の悪性リンパ腫は抗がん剤での治療を行います。

悪性リンパ腫は抗がん剤治療の反応が良いため、
延命の可能性が高まります。

抗がん剤治療を受ける前に、悪性リンパ腫の型や内臓機能、
猫白血病や猫エイズの感染検査を行い、
今後の余命を示唆するための大切な情報とします。

治療は抗がん剤が中心となりますが、副作用があるため、
悪性リンパ腫の進行具合やタイプ、抗がん剤を受けられる体力があるかなど
獣医さんと相談して、治療に臨む必要があります。

また、良質な食材を使用した栄養バランスのとれた食事や、
免疫力を高めるサプリメントを与えることは、
抗がん剤治療中の体力作りに効果的です。

猫の「悪性リンパ腫」の予防方法

  • 感染症の予防
  • 室内飼育を心がける

猫の悪性リンパ腫を直接予防する方法はありませんが、
原因の一つとされる「猫白血病」「猫エイズ」は
予防接種で防げる病気のため、これらの病気を予防することは
悪性リンパ腫の発症を下げることに繋がります。

また、「猫白血病」「猫エイズ」の感染経路として
野良猫との接触やケンカがあるため、
室内飼育を心がけることも予防になります。

悪性リンパ腫はタイプにより症状が様々なため、
飼い主さんだけで病気を判断することは難しいですが、
症状が出始めてから一気に悪化することもあるため、
少しでも変わった様子が見られたら動物病院に行きましょう。

まとめ

猫の「悪性リンパ腫」はリンパが腫れるなどの目に見える症状が出ない場合は、
飼い主さんが病名を判断するのは難しい病気ですが、
体調に変化が見られるので、いつもと違う様子が少しでも見られたら
獣医さんに相談するようにしましょう。

すでに猫白血病や猫エイズに感染している場合は、
リンパ腫が発症しやすい状態ですので、
常にネコちゃんの健康状態を確認しましょう!