子犬の下痢や嘔吐に注意!「犬パルボウイルス感染症」について

「犬パルボウイルス感染症」は感染すると、命の危険もあるとても恐ろしい感染症です。

可愛い子犬が突然ぐったりとし、激しい下痢や嘔吐が見られた場合は、この感染症を疑います。

子犬に多く感染が見られるため、子犬を飼ったらまずは知っておきたい病気の一つでもあります。

「犬パルボウイルス感染症」がどのような感染症なのか、しっかり知っておきましょう。

犬パルボウイルス感染症とは

犬パルボウイルス感染症犬パルボウイルスに感染することで発症する感染症です。

離乳期以降の子犬に多く見られるほか、免疫力の低下した老犬も感染しやすく、
血便を排泄する消化器症状と白血球減少などが見られます。

また、生後2~9週目の子犬が心不全を起こす、心筋型もあります。

犬パルボウイルスは、動物の体外に出ても長期間生存する
非常に感染力の強いウイルスであり、
ウイルスを含む便や嘔吐物、唾液、鼻水に他の犬が触れることで感染が起きます。

感染した犬が使用した食器の使用や、感染した犬を触った人間の手を介しても
感染をすることがあります。

犬パルボウイルス感染症の症状

犬パルボウイルスに感染すると下記の症状が見られます。

  • 元気消失
  • 激しい嘔吐
  • 下痢
  • 脱水症状
  • 白血球数の減少
  • 心不全

まず初めに激しい嘔吐が見られ、1日以内(6~24時間)に下痢が見られるようになります。

下痢の初期は黄灰白色ですが、その後血液が混ざった粘液状になり、
症状が重くなると、トマトジュースやケチャップのような状態になります。

激しい嘔吐と下痢のため、脱水症状を起こし、
衰弱からショック症状になることもあります。

特に子犬の場合はウイルスによる脱水症状・衰弱から2~3日で死亡することも多いです。

心筋型による心不全は、さっきまで元気だった子犬が突然悲鳴を上げて
呼吸困難を起こし、30分以内に急死してしまうため、手の施しようのない症状です。

犬パルボウイルス感染症の治療方法

  • 抗生物質
  • 輸液

犬パルボウイルスに対する直接的な治療方法はなく、
体力低下による二次感染を抑えるための抗生物質や、
体力回復のための輸液などが行われます。

犬パルボウイルス感染症の予防方法

犬パルボウイルス感染症の感染予防には下記の3つがとても重要となります。

  • ワクチン接種を行う
  • 感染した場合の消毒・隔離をしっかりと行う
  • 感染源となる場所に近づかない

ワクチン接種を行う

非常に感染力が強く、重症化すると死亡の可能性も高い犬パルボウイルス感染症ですが、
ワクチン接種により予防、発症しても症状を軽減をすることができます。

犬パルボウイルスが発見された1970年ごろは感染の流行がかなり見られましたが、
ワクチンが普及したことにより、以前と比べて感染はかなり減少しました。

ただし、子犬の場合は「子犬のワクチンプログラム」と言われる、
「母犬からの免疫力が切れるタイミングでのワクチン接種」を行わないと、
感染症に対する免疫力が付かないことがあります。

犬ジステンパーと同じように「子犬のワクチンプログラム」と、
成犬になってからの「年一回の予防接種」をしっかり守るようにしましょう。

感染した場合の消毒・隔離をしっかりと行う

もしも犬パルボウイルスに感染してしまった場合、
他の犬への二次感染を防ぐ必要があります。

感染した犬(下痢や嘔吐など感染の疑いのある犬)を速やかに隔離し、
感染した犬が使用していた食器や寝床、トイレなど接触したものすべてを消毒します。

犬パルボウイルスは通常の消毒剤に対して抵抗性を示すため、次亜塩素酸を使用します。

感染源となる場所に近づかない

犬パルボウイルス感染症は伝染性が非常に強く、
子犬の間で特に流行しやすい病気です。

そのため、狭い場所でたくさんの子犬が飼育されている
不衛生なペットショップなどで集団感染が起きることがあります。

そういった場所にワクチン未接種の犬や子犬を連れて行かないように注意しましょう。

まとめ

「犬パルボウイルス感染症」は感染すると、死亡することもある怖い病気というだけでなく、
治療薬がなく、対症療法のみのため、「予防」が一番の対策となります。

感染力の強いウイルスのため、もし感染した場合は、
他の犬への感染を防ぐための対処も重要です。

ワクチン接種を正しい時期に行うことで、
感染の予防や、感染した場合も軽度な症状で回復することができます。

特に子犬や老犬など免疫力の低いわんちゃんの場合は、注意しましょう!